日和
□その威力、最大
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今日会った隋の使者から手土産にと酒をもらった。酒は強い方ではないが隋の酒がどんなものか気になるのも事実。今宵は満月だし、月見酒と洒落こむのも良いだろう。
となれば話は早い、おっさんが一人で月見酒なんてそんな悲しいことはないし、妹子でも誘ってくるか。
その威力、最大。
案外すんなりと承諾をもらった。妹子も隋の酒がどんなものか興味があるのだろう。
隣で座っている妹子に先に酒の注がれた杯を渡す。だってまずかったらヤだもん。妹子の反応を伺ってから飲んだ方がハズレないだろう。
当の本人はありがとうございますと言って酒を一気に煽った。
「どう?」
「普通においしいですよ。このお酒。」
「じゃあ私も。」
別の杯に酒を注ぎ飲んだ。
妹子のいうとおり美味しい。でも少し度数が強い気がする。あまり酒には強くないのでもう数杯したらやめとこう。
…ん?そういえば妹子もお酒には弱いんじゃなっかたっけ?
隣の妹子を見るとすでに頬が染まり酔っているということが手にとるようにわかった。
「ちょっと妹子、大丈夫?」
「…なにが、ですか?」
…これは完全に酔ってる。
というかお酒弱すぎじゃないか?
いつも朝廷での飲み会には妹子も出席しているはずだが。
…そういえばいつの間にかどこかに行っていたような気もする。
とはいえそんなにお酒が弱いのならはやく飲むのを止めさせなければ。
「妹子、今日はもうやめにしとこう。」
「えー…なんでですか…?」
「だって妹子、酔ってるでしょ。」
「そんなことないでしゅよ。」
そんな舌足らずで言われても説得力がないにもほどがある。
あきらかにいつもの妹子じゃない。
…なんというか、可愛い。
いや妹子はいつでも可愛いんだけど、なんというか色気があるというか・・・
こんな調子でいられたら変な気をおこしかねないし、はやく介抱しようと思った、そのとき。
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