日和

□夜明けは貴方と
1ページ/1ページ






太子は困っていた。

恋人の妹子とはキスもした仲なのだが、そこから先に進むことが出来ないのだ。

妹子とはじめて手を繋いだときや、抱きしめたとき、はじめてキスをしたとき、妹子はいつも初々しい反応をする。
それは恋愛経験がないに等しい妹子にとっては仕方がないことかもしれない。
むしろ自分以外とそういうことをしたことがないということだから嬉しくもあった。

しかし、経験をしたことがないということは妹子にとってキスから先のことは未知のことであって、それは恐怖でもある。

少し前、我慢が効かなくなって少し舌を入れてみたとき、恐怖のせいか涙を流してしまったのは記憶に新しいところだ。

今の関係に不満があるわけではないのだが、妹子とはもっと深い仲になりたいというのが素直な気持ちだ。

けれど妹子に恐い思いはさせたくない。


解決策が見つからず今日もまた太子は悶々とした夜を過ごした。



*


妹子は悩んでいた。

恋人の太子とはキスもした仲だが、そこから先に進めないのだ。

太子と今まで付き合ってきて、嫌でも自分は経験がないんだと思い知らされてしまうことがいっぱいあった。

抱きしめられたりキスをされると体が自分の意思とは反対に強張ってしまう。

最初の頃は仕方がないと思っていた。でも、最近は太子に我慢させているようで悪い
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ