日和

□ふたりぼっち
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目を開けるとそこには見慣れない風景が広がっていた。


どこまでも続く高原に僕はいた。
四方八方見渡してみても僕の膝までしかない緑でうめつくされていて、この世界に僕一人しかいないというような錯覚に陥った。

上を見上げてみてもそこには一面の空があるのみ。

風の音しか聞こえない。
鳥の鳴き声も聞こえない。


…ここはどこだ。


僕はこんな場所知らない。
そもそもなぜ自分がここで寝ていたのか理解できない。

だれかに襲われて連れ去られた?

いや、もしそうだったとしてもこんな場所に置いていかれるわけはなんだ。


…とりあえず帰らなくては。

やみくもに歩くのもあまりよくないだろうがここにいるよりはましだ。





どれほど歩いたのだろう。
疲れるばかりでいっこうに景色は変わらない。
正確な時間はわからないがかなり歩いたと思う。
足はすでに悲鳴をあげている。
酸素を取り入れるたびにのどに痛みがはしる。

僕は耐え切れずにその場にへたりこんだ。

苦しい。

痛い。

あとどれくらい歩き続ければいいのだろう。
のどを潤すものがなく歩きつづけた今、僕の体力はないに等しかった。


あ やばい

目が霞み始めた。


こんなとこで倒れても誰かが見つけて介抱してくれる保証なんてない。
いや保証どころかその可能性はないどうぜんだろう。

体力のないぼくがこんなところで倒れるのは、すなわち。


死ぬ…のかな、ぼく。


こんなところで死ぬなんて、と思う反面もういいやというあきらめの感情もある。

いつから僕はこんな諦めが良くなったかな。

もっとやるべきこともあるだろうに。

したいこともあっただろうに。

会いたい人も、いるだろうに。




…あれ?




会いたいひとって、だれだっけ…?





大切な人だったその人の顔をおもい浮かべた瞬間、僕の意識は途絶えた。






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