日和

□ぬくもりのかたち
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建物の二階、グラウンドに面したところにその部屋はある。
生徒会室、とかかれた部屋の扉を開けると、対面式に置かれたソファーの真ん中にテーブルが置いてあり、その向こう、窓に近い場所には生徒会長席。
職員室で先生達が使っているよりいい机といい椅子が常備されている。
それはどうでもいいのだが、その席に座っている奴が気にくわない。

聖徳太子、現生徒会長の名前だ。
生徒会長を任されているだけあって成績はいいようだ。
しかし、こいつがどうしようもないアホとわかったのは僕が生徒会に引きずりこまれた直後に判明した真実だった。
副会長の閻魔さんとは毎日生徒会室でお祭り騒ぎを決行している。まあ、最終的にいつも鬼男先輩が喝をいれればそれで解決するぐらいのものだが。

毎日毎日うるさいものだと呆れる反面、この日常化してきた風景がなぜかとても好きになっている自分がいる。今までは勉強漬けの生活で、日々の生活に価値が見出だせずにいた。
それが今はどうだろう。
こんなに毎日が楽しい。
かけがえのない日常になっていた。

僕が入学して半年、学校生活にもなれ充実した日々を手に入れた。
今、僕は今までにないぐらい心が満たされた感じがしている。

それは、僕が現在おかれている状況がそうしたのか、それとも誰かに変えられたのか…。

誰、と聞かれれば大体は目星がついている。
太子だ。
僕を生徒会にひきずりこみ、僕のかけがえのないものをつくり出した張本人。
僕の太子に対する感情もだいぶ変化した。
最初はやはり太子のことを受け入れられなかった。こちらの都合も考えずに自分勝手な行動ばかりとる生徒会長に嫌悪すら抱いていた。
しかし、今は感謝、尊敬の感情が大きい。ずっといっしょにいなければその人の良いところがわからないとはまさにそのとおり。太子がなぜ会長になれたのか、わかった。
太子の能力もさることながら、人柄に惹かれた人もきっと少なくはないと思う。そのへんはさすが、と言うべきであろう。




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