日和

□勘違い
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「妹子、あとで私の部屋に来て。」

「…はあ…。」

いつも通りの誘い文句に聞こえる、セリフ自体は。
でもなぜだろうか。いつもはない威圧感があるし、誘われているというよりは…命令されている感じがする。

「…わかりました、仕事が終わり次第伺います。」

「うん、必ず来て。」

そう言うなり踵を返し歩き出す太子を変に思ったが、呼び止めて話し込む時間もない僕はまた仕事に戻った。



―――――−‐ 


やっぱり今日はなにかがおかしい。
いつもは部屋にきたら笑顔で歓迎してくれる太子が今日は一言もしゃべらない。
それどころか、目すらあわせてくれない。

「…あの、太子…?」

「…………。」


ビクッ

目線をこちらに向けた、というよりは睨んだ、に近いかもしれない。鋭い切れ長な目に睨まれ、不覚にも、怖いと思ってしまった。

しかし、このままで埒があかない。僕は朝から思っていたことを太子にぶつけた。


「太子…もしかして怒ってます?」

ヒクリ
少しだがうかがえた動揺の色を僕は見逃さなかった。

「…なぜです、僕、なにか気に障ることしましたか?」

こちらとしてもなぜ相手が怒っているのかわからないと謝れるものも謝れない。

とそのとき

「妹子、」

と呼ばれたと同時に腕を強く引かれそれに反応し抵抗を始めるころには唇を塞がれていた。

「んっ!?ぅう…!」

しょっぱなからの激しい息をも奪い取るかのようなキスに、初めは抵抗の為に強張っていた体も力を失っていった。

「んんぅ…っは、ぁ…っっ!」

「…っ。」

酸欠なのだろうか、頭がクラクラしてきた。
今僕ができることは太子に縋ることだけだ。

「…ん…ふ、ぅっんん…っっ!?」

離されたと思ったらまた口づけ、また激しく口淫される。
舌を絡められ、時折上の粘膜に触れられ、ビクリと体を跳ねさせる。それの繰り返しを何度もし、満足したのか太子が体を離したころにはすっかり出来上がっていた。

「…なに妹子、キスだけでもうガチガチじゃん。」

笑いを含んだ声で呟かれれば何度も抱かれた体は嫌でも反応してしまう。

「ぷ、はっぁ…んん…っ。」

息を整えているのにもかかわらず畳に体を押し倒され、ジャージの下を脱がされ上のファスナーは下される。
一気に肌を外気に晒されふるりと体を震わせた。

ぐしゅっぐちゅっといやらしい音を立てながら自身を攻め立てる。

「ああぁっんぅ、ャぁっ!」


どんなときでも冷静に僕の弱いところを刺激し、僕を絶頂に導こうとする。
裏筋を刺激し先端に爪をたてる。

「ひっ…!、ぁっあ、ああっ。」

あっけなく絶頂を迎えた僕を太子は先ほどと変わらぬ、しかし熱を含んだ目で見降ろしていた。

「は…っあ…、ん…太、子…。」

生理的な涙で濡れた視界にうつる愛する人に手を伸ばす。
その手に指を絡め返してまた畳に縫い付けられる。

「…ねえ妹子…。」

「は、ッ…い…?」

「昼間私がお前を訪ねる前、誰と話してたの?」

「…え。」

確かに話していた。まさか太子に聞かれていたとは予想外だった。


「なんだかすごく楽しげだったじゃん…ねえ、誰と話してたの?」

「だ、誰って……っ。」

「あれっ?言えないの?言えないような相手なの?」

「そ、ういうわけじゃ…なっぃ!?」

急にまた自身に刺激を加えられ、うわずった声をだしてしまった。

「た、し…!太子!っや、ダ…やめてくださ…ああっ?!」

いつのまにか手は上半身に向かい胸の飾りを弄り始めていた。

同時に上と下を攻められイッたばかりの体はまた絶頂に向かっていった。

「ひっんんぁぁ…っ、ゃら、っ!ィっちゃ、またイっちゃうヨぉ…っ!」

目の前が白くなり自身がぴくりと震えて絶頂が迎える…と体が脱力したそのとき…

「ぁ…ふ、ぅ…?」

イく一歩手前で自身の根本を握りこまれた。吐き出すことのできなかった熱はグルグルと体内を暴れ、不快感さえ湧いてくる。

「ぃっ…やあぁ…!離してっ、手…っ離してぇ!」

いやいやと頭(かぶり)を振りながら懇願する可愛い恋人に太子は自分の熱が上昇していくのがわかった。

我慢できずに自分で自身に手を伸ばすが太子がそれを許すはずもなく…

「ぁうう…っな、んでぇ…。」

「誰と話してたか言ってくれなきゃだーめ。」

「そ、れはぁ…っ。」

なかなか言い出そうとしない妹子に太子は追い打ちをかける。

「うっ…!…っぅ、…。」

ツゥっと自身に指を這わされせき止められていっぱいいいっぱいの妹子にはそれだけでもきつかった。


「ねえ、言って、誰と話してたのか…。そしたら…」

いっぱいイかせてあげる。

なんて掠れた声で呟かれたらたまったもんじゃない。
妹子は少し戸惑いながらも口を開いた。

「ぁ…竹中さんと…。」

「竹中さん?なんで竹中さんなんかと…。」

どこのだれかもわからぬ馬の骨ではなく自分の友人の名前が出てきたことに少しならず太子は安諸した。


「…っ太子の、…誕生日のことで…話してました…。」

「わ、たしの…?」

正直驚いた。まさか私の誕生日のために妹子と竹中さんが二人で準備していたなんて思ってもみなかった。
というか妹子には誕生日を教えたことあったかどうかすら疑問だった。

「竹中さんに、っ教えられて…それで。」

誕生日にプレゼントあげてびっくりさせようって…、思ってましたなんて可愛いことを言われてしまったらたまったもんじゃない。


「妹子…ありがとう、私すっごく嬉しいっ。」

止めていた手の動きを再開し自身を握っていた手も力を緩めた。

「んんんっ…ィっ!ぁっ、あん、ゃっ…!ふ、っあああんあぁ…っっ!!」

止めていた熱を吐き出し盛大にイッた妹子は自分の出したものを顔にかぶり呆けていた。


「ぁ……っ、ぁ、ゥ…。」

敏感な体は髪を撫でられるだけでも気持ちいいらしく体を厭らしくふるわせた。


「妹子…イッたばっかで悪いけど…。」

妹子の吐き出したものを指に絡め後ろの窄まりに指を添えた。

「今度は私の相手してね…?」

期待に体をふるわせながら恋人の口づけを甘受した。




END




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