日和

□ぬくもりのかたち
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ただ、人柄に惹かれたとは言ったものの、僕の中の感情はちょっと違う気がする。
では、この感情はなにか…?と問われれば、これも同様に目星はついている。
…慕っているのだ。
しかし、困ったのは僕のこの感情がなにに対して向いているのかということ。
尊敬の意などではない。
僕は、太子自身を慕ってしまった。

自分でもびっくりだ。この気持ちを理解したときの困惑といったらなかった。それもそうだ。男同士。その世間一般では受け入れられないであろう関係に自分が足を踏み入れようとしているのだから。

けれど、困惑もしたが、やはりショックも少なからず受けた。自分が女だったら、太子と僕が異性同士であったら…つまりそういうことである。なんの障害もなかっただろう世界に思いをはぜたのはすでに両の指では足りないほど。

きっと、これからも、僕たちの関係に進展なんてものは存在しない。

だから、わかっているから僕はこの気持ちをひた隠していく。
ズキンと傷んだ心を見せないように、上手に付き合ってみせる。

だから、なにも望まないから、ずっとずっと貴方のそばにいることを許して下さい。

それが僕の最初にして最後の貴方に捧ぐ我が儘です。

…ただ、ずっとそばに。




end





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