短編小説
□江戸川少年の悩み 哀side
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それに気づいたのは、ちょっと前のこと。
まぁ彼は男の子だから、言ったら傷つくかしら?と思って、知らない振りをしていた。
「灰原…」
また今日も博士の目を盗んで、私達は唇を重ねる。
「…ダメよ……博士が…来るわ……」
背の低い彼に合わせて少し屈んでいるこの体勢がキツくて、そんな事を言ってしまう。
彼がキスをやめない事を、私が一番解っている筈なのに…。
「大丈夫、だって…」
案の定、彼はやめない。
それどころか徐々に深いキスへとなっていく。
舌を絡めて。
軽く吸って。
…せめて、押し倒すなり座らせるなりしてほしかったわ……。
なんて思ったけど、彼の唇に、舌に、犯されていくうちにどうでもよくなった。
「買い物に付き合ってくれない?」
彼と一緒に近くのスーパーへ行く。
私は踵の高いブーツを履いていて、彼より背が高くなっていた。
「…俺、灰原より小せぇんだな……」
独り言のように呟いた彼。
私は何も言わなかった。
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