小説

□君の隣
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昼休みのチャイムがなる。
と同時に 教室の後ろの扉が開く。
現れた人物に皆驚くが、発せられた言葉にさらに驚愕させられた。



「せーとかいちょー」

「煙草を吸うな ピアスを外せ シャツをしまえ」

「なぁ悪いんだけどさー 今日泊めてくんない?」



こてんと小首を傾げて ダメ? と聞かれたら、嫌だなんて言えないだろう。
わかったとため息混じりに答えると、シカマルは幸せそうにへらりと笑って自分の教室へ戻っていった(かどうかは定かではないが)。
残された(というのかわからないが)俺は席に戻り、昼飯を食べ始める。
その後もいつも通りに授業を受けるが、なんとなく 放課後が楽しみだったのは誰にも言えないな。

(言わなくってもそわそわしてたらバレバレなんだけど byテンテン)








そして放課後。
教室までわざわざ来たシカマルと共に学校を出る。
いつもバイクで来ている訳ではないらしい。



「家は近いのか?」

「いんや チャリで40分」

「ずいぶん遠いな」

「そーだなぁ」



気にしてないけど。
なんて空を仰ぎながらシカマルはそう言ったが、ならば何故 今日は歩きなのだろうか。
少しの沈黙があってから、まるでこちらの思考を読み取ったかのようにシカマルは続ける。



「この辺のダチん所 泊まり歩いてんだけどな」

「家には帰らないのか?」

「うん」



あまりにはっきりと言うものだから、それ以上の詮索は止めた。
そして次に浮かんだ疑問を投げてみる。
近所に友達がいるのなら、何故俺を選んだのかと。



「ダチん所だと その内足が着くだろ。その点 アンタなら生徒会長だし、俺は不良だし?」

「なるほど、接点がない上に 匿う理由もない訳だ」

「でも泊めてくれんだろ?」

「俺は構わない。煙草さえ吸わなければな」

「わぁかったよ」



吸いません、と当てにならない約束をして、俺たちはのんびりと家へと歩いていた。





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