小説

□ご褒美ちょーだい
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日向家にお世話になるシカマルは、心の中で悪態を付く。
お世話になるにあたり 日向ヒアシが実の息子のように接してくれ、親父っていいなぁ(死んだ訳でもないのに)なんて嬉しく思う反面、加護保な対応にうんざりもしていた。



「(……メンドクセー…)」



今まで放任主義が主体だった分 反動はすごい。
しかし反発してどうにかなるような人だとはシカマルはどうしても思えず、こうして言う事を聞いている訳だが。
ネジの部屋で課題の山と格闘しながら、シカマルは再びため息を吐いた。



「ため息を吐く暇があるなら手を動かしたらどうだ」

「だってメンドクセー…、ネジはねーのかよ」

「俺は出された日に片付けている。お前のように溜めたりしていないからな」

「ちぇ」



シカマルの隣で悠々と本を読むネジに あからさまに不機嫌になる。
子供のように頬を膨らませて目の前の課題を片付けるシカマルに、ネジはくすりと笑った。
そんなネジに、シカマルはさらに口を尖らせる。



「終わったらご褒美くれよ」

「こんな事でご褒美を出すほど うちは甘くないぞ」

「なら何したらいいんだよ」

「そうだなぁ…」



ネジは読んでいた本を脇に置き、うーんと考えるふりをする。
ふりというのは、ネジの中で答えが出ていたからだ。
きっと無理だろうな と思うくせに、それ以外は考える気もなかった。
しばらく黙った後、ネジをじっと見るシカマルへ視線を移し、ネジは言う。



「明日からのテストで全て 満点を取ったら、だな」

「…へぇ」



きっと無理だろう。
ネジは本当にそう思っていたのだが、シカマルがあまりにも不敵ににやりと笑うものだから、ネジは急速に不安になってしまった。


そしてテストの最中も、シカマルはクラス全ての生徒を驚かす。



『(シカマルが真面目にテスト受けてる!!!)』



誰もが集中など出来るはずもなくテストは終わり、その数日後 もう一度驚かされる事になる。






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