小説
□僕らは架空世界探検隊
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「本物の雲っての 見てみてぇなぁ…」
きっかけはほんの一言だった。
この世界が偽りのものだと気が付いたのは、つい最近の事だ。
もともと本を読むのが好きなシカマルは、つい魔が差して ダメだと言われていた禁書に手を出してしまった。
そしてそこに書かれている事実に驚愕とともに、今まで腑に落ちなかった胸のしこりがすとんと落ちた。
どこか違和感のあったこの世界、その違和感がなんなのか ようやくわかった。
どこもかしこも人工的で 機械的で、とどのつまり造り物で。
自分たちは大人たちの造ったシェルターの世界を知らずに これが当たり前だと生きてきていたのだ。
そんな事をぽろりといつもの悪ふざけメンバー、ナルト キバ チョウジに口を滑らせて、シカマルのその一言。
メンバー内ではアイドル的位置にいるシカマルの言葉に、皆が一斉に立ち上がった。
『本物の世界を見に行こう!』
そして偶然にも何故かその話を聞いたネジがナチュラルに集合し この世界の果てにあると云う本物の世界を目指して冒険へと出発した。
「まずこの世界の出口を探そう」
「地図で言うと……この辺 だな」
シカマルが持ち出した古い地図と新品の地図を見比べながら、ネジとシカマルで計画を立てた。
はっきり言ってしまって 普段のメンバーでは些か計画性に不安があったシカマルは偶然でもメンバーからブーイングがあろうとネジがついて来てくれた事は内心喜んでいた。
そして向かうべき場所に印を打ち、さぁ出発だと地図をたたんだ。
「この川も偽物なんだってば?」
「ま そーいう事になるんだろうな」
「なんだか悲しいね……」
先に進むために渡る事になった キラキラと澄んだ水の流れる川を渡りながら、メンバー全員が目を伏せた。
チョウジの言う通り、誰もが悲しくなったのだ。
本物だと信じていた何もかも、偽物だと言うのだから。
しかしそんな事実を知ったからこそ、先に進み続けるのだ。
この世界の果てにある、本物の世界を見てみたいから。
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