小説2

□俺さまメイド
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リビングに上がると いつも通りシカマルはソファに座って雑誌を読んでいた。
シカマルは俺に気が付くと 柔らかく笑った。



「おかえり アスマ」

「ああ、ただいま」








シカマルが俺の家に住むようになったのは、シカマルが通う学園に入学が決まってからだった。
自宅から通うには少しばかり遠く 一人暮らしをさせるにも不安という理由から、親父さんのシカクさんに頼まれたのがきっかけだ。

最初は ただ知り合いの息子として付き合っていたんだが、今では立場も変わり 俺たちは言うなら恋人同士になってしまった(気が付いた時にはもう後には引けなかったんだ…)。
こんな事 シカクさんに知れたら多分、次の日の朝日は拝めねぇと思う。







再び雑誌へと視線を戻したそんなシカマルに、手に持った紙袋から生まれた疑問を投げてみる。



「シカマル お前……文化祭でメイドしたのか?」

「!!?? なんで知って……!!?」

「いや だって、コレお前が持って来たんだろ?」

「はぁ!?」



バサリと落とした雑誌をそのままに紙袋を引ったくったシカマルは、中身を確認して 机に置かれた携帯をギッと睨んだ。
大方この紙袋を置いて行った奴から何らかのメールが入っていたんだろう。



「なあ どうせだし着て見せてくれよ」

「やだ」

「ハハ そう言うと思ったぜ」



予想通りの返答が戻ってきて苦笑いを漏らす。
コイツの性格上、頼まれようと即答で却下するってわかってたから。

捨てられた雑誌をソファに拾い上げ その隣に腰を下ろした。
ぎゅうと紙袋を持ったままのシカマルを横目に かちりと煙草に火を付けた。



「……………………………今日だけ だからな」

「ん?」

「ちょっと待ってろ」



そう言うとシカマルはリビングを出て行ってしまう。

一体どうしたってんだろう。
シカマルが出て行った扉をぽかんと眺めていると、数分もせずにシカマルは戻って来た。


黒のメイド服に身を包んで。





「へぇ 似合うな」



唐突のメイド参上に 落とし掛けた煙草を灰皿に押し付ける。

驚かないわけがない。
まさかここまで似合うだなんて。

ドキドキしないわけがない。
黒のミニスカートから白く細い足がすらりとのびていれば。

興奮しないわけがない。
恋人が こんな格好で登場すれば。


ほんの少しだけ頬を染めたシカマルに、出来るだけ平静に応える。
するとシカマルは俺を見てにっこりと笑った。



「学校でもこんなコト言わなかったんだからな」



シカマルはソファに座る俺の膝の上に移動して。
細い腕をするりと首に回して。
そのまま軽く 口づけた。



「今日だけ トクベツにごほーししてやるよ、ご主人様」



ほんのり赤く染まった頬と

濡れた唇でくすりと妖艶に笑って。





「たんじょうび おめでとう」




上から目線の可愛い恋人は 祝いの言葉を贈ってくれた。








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メイド服を届けたのはいのです
幼なじみの家(恋人)なんてとっくにリサーチ済みだったはずです。


読んでいただきありがとうございました!
アスマ先生誕生日おめでとう!
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