小説2

□憩いの場
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彼の隣に居られたら

そう思ったのは最近の事ではなかった。
多分 初めて見かけたその時から、そんな気持ちはあったと思う。

けれど それ以上は望まない

相手が同性だから とか、子供だから とか。
そんな世間体を気にした事じゃなくて、自身の控えめ過ぎる性格ゆえだった。

だけど その隣を譲りたくない

そんな矛盾する 曖昧な、感情。



「(もうどうする事も出来ない)」



進む事も戻る事も出来ないなら、いっそ諦められたら楽だろうに。

気持ちいいくらいに晴れ渡る空を見上げてため息。
木漏れ日の射すお気に入りの場所で、好きな本を読んでいるというのに心の中は複雑だ。



「どうしたらいいんでしょうね…」

「何がですか?」



独り言に返事をしたのは 思いを寄せるシカマル君だった。
唐突に現れて驚いた。
ぽかんと見上げていると、彼は 隣いいですか と一言言って座った(許可を取る気はないらしい)。



「俺もここ 好きなんですよ」

「そう なんですか」

「で、何がどうしようなんですか?」



何、と聞かれて答えていいのか。
本人を目の前にして言っていいのか。
数分間悩んだ後 出した結論はお得意の回避という情けないものであった。



「シカマル君は私に用事ですか?」

「はい?」

「好きな場所だから というだけで私に声を掛けるとは思えなくて」



質問に質問で返すなんて卑怯だ。
頭の隅で冷ややかに笑う。
そんな私の考えを壊すように、シカマル君は頭を掻きながら言った。



「ハヤテさんは毎日 声掛けてくれるじゃないですか」

「ええ」

「今日はまだ 会ってなかったんで、…探しちゃいました」



少しだけ頬を染めて、私を見たシカマル君は口ごもりながら続ける。
その言葉は私の悩みをかき消すには充分過ぎた。



「ハヤテさんの隣 落ち着くから好きなんですよね」








君の隣に

僕の居場所がありますように

僕の隣が

君の憩いの場になりますように


それ以上は望まない。



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シンママ様お待たせ致しました!
リク頂きましたハヤシカです!

シカに纏わりついてないですが ハヤテさんゲホゴホ言ってないですが
ハヤシカというかハヤ→←シカっぽいですが

シンママ様のご希望に添えていると嬉しいです!
リクありがとうございました!
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