小説3

□君と僕との距離
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「…うん、そっか。しょうがないよな」

『…悪い』

「気にすんな、大丈夫 だから」



大丈夫 大丈夫を繰り返す俺に、サスケは電話先で何度も「ごめん」と謝る。
その声はあまりに切なそうで、じんわりと涙が浮かんで来た。



「仕事なんだから仕方ないだろ。アンタのせいじゃない」

『今度 ちゃんと埋め合わせするから』

「いいって。忙しいんだから無理すんな」



そう言いながらも、本当は少し寂しい。
電話もメールもしょっちゅうしているけど、ふたりでゆっくり過ごしたのはもうずっと前の話だ。



『…ごめん そろそろ、』

「ああ、…いってらっしゃい」



通話が切れると同時に力が抜けた。
ぼんやりと眺める視界の端に サスケが出るという生番組が流れているのを確認した。

サスケは人気アイドルグループのリーダーで、今一番忙しい時期。
俺は一般庶民な訳で サスケとは住む世界自体が違う。
だから仕方ないんだ。


頭では理解してる。

なのにどうして。


寂しい 会いたいという気持ちは大きくなるばかりで。



『好きなタイプ ですか? えっと』

『…長い黒髪で、綺麗好きで、意地っ張りで生意気で』

『一緒にいて、安心する奴です』



聞こえたサスケの声に 俺は急いでテレビに寄った。
サスケは周りが困ったような雰囲気をしてるのを無視して、カメラ目線で 照れたように微笑みながら続けた。



『(シカマル)、好きだよ 愛してる』



サスケの発言に、サスケ以外は固まってしまった。
もちろん俺だって例外じゃない。
でも、赤くなるサスケを見ていたら なんだか嬉しくなってきて。
気が付いたら自然と笑みが漏れていた。



「馬鹿 だなぁ」



俺が観てなかったらどうするんだよ。
そう言ったらきっと笑いながらサスケは 絶対観てるって自信あったから なんて答えるんだろうな。



「…俺も好きだよ、愛してる」




存在は誰よりも遠く


けれど心は誰よりも近くに


それが、


僕と君との距離






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スクープとして取り上げられました(笑)
しかしサスケのキャラが完全に壊れt(げふんげふん


読んでいただきありがとうございました!
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