小説3

□君と見る世界
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全て知ってしまった。

生まれつき記憶力が高いせいもあると思う。
頭の回転の良さを買われて暗部に誘われ、興味のままに入隊した。
結果、知らなければいい自国の裏側を見て 記憶してしまった。

全て 知ってしまった。

平和な場所だと思い込んでいた自分の国は外観だけ。
綺麗なのは見た目だけの嘘っぱち。
その内側は黒く醜いモノが始終渦を巻いていて、飲み込まれ消えてはまた生まれる終わらない悪循環。
青々と茂るたくさんの葉は、やがて落ちて腐った根に吸収される。
木の葉に生まれた者に、待ち受ける未来は輝いてなどいなかった。

全て、知ってしまった。

闇に沈んで希望を無くした俺の世界は、いつの間にか 色さえも失くなって。

視界に広がるのは、モノクロの世界だけ―――。




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