小説3

□デンドロビウム
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「(…………困ったな)」



日が暮れ始め そろそろ鍛錬も終わりにしようとした所、帰ってきたシカマルに抱きつかれ尻餅をついた。
腰にしっかり腕を回し顔をうずめるシカマルにどうしていいか解らず既に何分、いや何十分経ったのだろうか。

どうした 何かあったのかと尋ねてみたが沈黙で返され八方塞がり状態だ。



「(…大学で…嫌な事でもあったのだろうか)」



やる事もないからと自分で全部決めて大学に進んだシカマルが、どんなキャンパスライフを過ごしているか俺は知らない。
それはシカマルが一切話さないのもあるが、何かあったとして自分独りで抱え込むのがコイツの悪い癖。
少し強引にでも相談させるべきかとようやく口を開いたその時だった。



「ふー落ち着いたー」



かばりと体を起こし深く息を吐き出してそう言った。
タイミングを失った俺の言葉は口を出る頃には母音と疑問符に成り変わっていた。



「やっぱ俺アンタの匂い好きだなァ すげぇほっとするっつーかさ」

「それ、だけか?」

「うん、それだけ。ダメ?」

「…いや、駄目 ではないが」


駄目ではないが、あまりにたわいなさすぎて表紙抜けした。
こっちが勝手に深読みしただけだで、シカマルは関係ないのだが。
複雑な心境でシカマルの顔を眺めていると、彼はぽつりと口を開いた。



「しばらく一緒にいなかったから 久々にアンタで一杯になりたくて。…アンタもそうだろ?」

「なにがだ?」

「俺の匂い好きだろって話」



にやり と、いたずらに笑うシカマルに反論など出来なかった。
シカマルの匂いが好きだというのは否定できるはずがない。
図星のようなものを突かれ黙り込む俺に、シカマルはクスクスと笑い ぎゅうと強く俺を抱きしめた。



「アンタも俺で一杯にしてやるよ」





もっと

君の匂いに包まれて

もっと

君で一杯にして

僕で一杯になって




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甘いネジシカを目指しましたがなってますでしょうかね…(・ω・;)
ネジはシカを絶対甘やかすと思うんです シカもそれわかっててやってるだろうなぁなんて(笑)

大変お待たせいたしました 企画参加ありがとうございました!
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