小説2

□ラヴレター
2ページ/3ページ




ほとんどの部活も終了して 生徒がまばらになった学校で、もうする事もないしと職員室を出る。
プリントの束を入れたカバンを抱えて教員用の下駄箱を開けてため息をつく。
ふざけてんのか本気なのかわからない手紙がばさばさと落下した。



「(ったく 毎度毎度うぜぇなぁ)」



家に帰ればゴミになるだろう紙の山を拾い集め、取りあえずカバンの中へと突っ込んでおく。
俺みたいなのが何がいいんだか知らないが ピンクや黄色で綺麗に彩られたそれらを見てると腹が立つ。
良く知りもしないで「好き」だとか「愛してる」とか、意味のわかっていないガキの使う言葉じゃないだろうに。



「ん…?」



ぱらりと落ちた一枚の手紙。
カラフルな手紙に混じったやけにシンプルなもので、他のと違い表には宛先(と言っても俺の名だろうが)すら書いていない。
書いてあるのは裏側の、やけに達筆な本人の名前だけ。



「…奈良シカマル……って男だよな確か」



なんで男から…果たし状かよ。
気になったからその場で開封。
中に入った3つ折りの便箋には、やっぱり達筆な文字でほんの一文だけ書いてあった。



『校舎裏』



無視する事も出来たが、この後特に用事があるわけじゃないしと興味本位で校舎裏に向かう。

日も暮れかけて気味の悪いほど暗い校舎裏を覗く。
しかしそこには人影などなく、ああ騙されたかなと頭を掻いた。
そのかわり、校舎裏の巨大木に 下駄箱に入っていたのと同じ手紙が貼り付けられていた。
それにもやはり、達筆な文字で 奈良シカマル と書かれていた。
開けてみると、やっぱり3つ折りの便箋に達筆に一文。



『体育倉庫』



何がしたいんだと思いつつも、俺は手紙のいう場所へと向かった。





次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ