小説2

□君に 花弁を
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「…どうしたんすか?」

「どうしたってホラ、お前誕生日だろ?」



チャイムを押して数十秒 玄関を開けて出てきたシカマルは随分とマヌケ面をしいた。
俺の顔を見上げてきょとんとする理由には心当たりがある。


それは今日、俺が仕事だという事。
任務が入っている訳ではないが山のような雑務をこなさなきゃならない。
そんな事は本日休みであるシカマルもわかっているからこそのこの顔なわけなんだが。
俺の仕事は「恋人の誕生日だから」を理由に ライドウに半強制的に押し付けて来たから問題はない(シカマルに言う気はない 怒られるから)。

そして未だに理解しないシカマルの目の前に差し出すは、一輪の白い薔薇 のつぼみ。



「お前はまだガキで、なんも知らねえから コレな」

「(……キザ…)」



シカマルは頭が良いから、多分 コレの理由もすぐわかっただろう。
さすがの俺も照れくさくて頭を乱暴に掻く。
視線を横へズラしていると、風に消える程小さな声でシカマルは言った。



「ありがとう、ございます…」


そんな声じゃ聞こえないだろ。
なんて言ってやろうとして止めた。

下向いててもわかるほど顔を真っ赤に染めるもんだから、可愛いなって素直に感じて。
そう言ったら うるせぇ って殴られたけど。



「もっと大人になったら真っ赤に咲き誇る薔薇の花束を渡してやるよ」

「……ふぅん…」



そう言って笑ってやると、シカマルは 伏せていた顔を上げて呟いた。



「ならアンタが大人にしてくれるんすよね」

「ん?」

「今日 親居ないんすよ」



そうやって上目遣いに俺を見上げて
誘うように笑って
薄く開いた唇から紡がれた言葉は、俺を試したのか?



「俺をオトナにしてよ ゲンマさん」



応えるように口づけをすると、シカマルはまた頬を赤く染めるから。


閉じた白いつぼみに 赤い花弁を散らしてやるよ。









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白薔薇は「純潔」「清純」の意味があって、つぼみは「処女の心」なんだそうです。
で、赤は「愛情」です(´ω`*)

シカマル誕生日おめでとう!
そして読んでいただきありがとうございました!
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