小説2
□dark blue
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今夜は月が出ていない。
見上げた空は薄い雲を全面に乗せて流れるばかりで、星すらも隠してしまっている。
たったそれだけ。
たったそれだけで、不安は大きく膨れ上がるんだ。
「(……平気、かな)」
久しぶりの暗部の仕事だと カカシは少し哀しげに笑って、薄暗くなり始めた闇の中消えてしまった。
カカシはあれでも里の指折りの強さだから、心配なんていらないとは思うけれど。
それでも見送りに見た笑顔に心配せずにいられるものか。
俺は、ただ空を見上げて、返ってくるのを待つしかないんだ。
ガサ、
ベッドに転がっていると、外の木が揺れる音が聞こえた。
窓を開けると見慣れた銀髪にマスク。
服はいつもと違うということは、任務が終わってすぐここに来たんだろう。
「おかえりな さ……」
ほっと一息もつかの間、言葉も無く抱きしめられて。
その勢いのままベッドに倒れ込んだ。
「カ カシ……どうし」
声を掛けても、ぎゅうと腕の力を込めるだけで返答はない。
顔も見えないからどうしたらいいのかわからない。
混乱しながらも、空を仰いでいた自分の腕をカカシの背中に回した。
時に気づく、手に触れたぬるりとした嫌な感覚。
「…怪我…っして、」
「……、平気 」
「待ってろ 救急箱取ってくる、から」
「いいから」
止血しなければとカカシの腕から抜けようとしたけど、あまりに冷静なカカシの言葉にそれ以上動けなかった。
「大丈夫 だから、もう少しこのまま」
大きな体は、何かに怯えるように震えていて。
俺はその体をそっと抱きしめてやる事しか出来なかった。
任務で何があったのか、俺にはわからない。
けど、アンタが業を背負うなら
何かの罪を背負うというのなら
俺も 一緒に、
「新しく暗部になりました京ですよろしく」
「…あれ 君もしかして」
「俺も背負うから、アンタと一緒に」
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シカクパパの猛反対を押し切っての暗部入り(笑)
暗部の任務は絶対一緒に行きます ええ何があっても!
読んでいただきありがとうございました!