小説3

□firSt Voice
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明日が誕生日だというのに 雑務で残業になり、時間はすでに深夜の域に達していた。
同期達は自分の仕事を済ませたらさっさと帰ってしまった。
手伝ってくれねぇのかと文句を零したが、自業自得だとあっさりかわされた。
そりゃ今までサボっていたのは悪かったとは少しだけ思う。



「…はぁ…」



静寂の中つい飛び出したため息が響いた。
誕生日前日に独り寂しく残業か。
まあ三十路手前の誕生日なぞ祝っても祝わなくても気にはしないのだけれど。



「ゲンマさん、これ終わりましたよ」

「あえ?」

「? 何ヘンな顔してるんすか」



早く終わらせましょう シカマルは別の資料を手に取り仕事に掛かる。

前言撤回しよう。
独りではなくふたりだった。
普段共に仕事をする奴らと違い寡黙に仕事を行うものだから独りだと錯覚を起こしたようだ。
自分の仕事を手伝って貰っておいて最低だな、俺は。



「…子供が起きてる時間じゃないだろ。もういいから帰んな ありがとな」

「いいスよ 別に。あと少しだし」

「何がだ?」



あと少し?
仕事はまだ山のように残ってる。
疑問を投げかけてもシカマルは答えはしない。
混乱しながらも意味を考えていると、しばらくしてシカマルはまるで嬉しそうに笑いながら俺の名を呼んだ。



「誕生日おめでとうございます」

「……ぇ、ああ ありがとう?」

「誰よりも先に言いたかったんす。俺が、一番最初に」



失礼しますと 顔を真っ赤にして走り去ったシカマルに、俺は呆然と立ち尽くしたまま。
見上げた時計は真上を指しているのを見て、唐突に気恥ずかしさに襲われた。
徐々に熱を持つ顔を片手で覆い 微笑を漏らす。



「最高の誕生日になりそうだわ」



特別な言葉という訳ではない。
それでも、充分過ぎる程伝わった。

君の"スキ"の気持ち。









「なぁ俺どんな顔してシカマルに会えばいんだろ」

「知るか働け」

「そーいうなよライドウ 親友だろ」

「いつから親友になった。……とりあえずそのにやけた顔は止めた方がいいと思う」




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happy☆birthdayゲンマさん!

誕生日ネタだけは1年に一度しかないからどうしてもやりたかったけど酷い出来だよごめんなさい…
題名にも意味はありません。

とりあえずゲンマさん誕生日おめでとう!


読んで頂きありがとうございました!
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