小説
□あまのじゃく
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嫌い
「……会いたい…」
夕陽が差し込んで、徐々にオレンジに染まる部屋の天井を眺めながら、呟く。
「…会いた い」
口癖のように、何度も何度も。
つぶやいた所で、アンタに届くわけじゃないけど。
静かすぎる部屋に霧散して消えるだけ。
そんな事 わかってる。
わかってるけど。
「会いたい…」
けどやっぱり、会いたくない。
体の向きを変えて布団に突っ伏す。
女々しい、俺。
かっこわりぃ。
「会いに、来いよ」
会いたい。
会いたくない。
会い たい。
「会いたい」
気付いたら、家を飛び出していた。
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