小説

□それを人はヒーローと呼ぶ。
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痛みなんてない。

殴られるのも蹴られるのも もうずっと前に慣れたから。
そしてそれを 見てみぬふりをされる事も、もう 慣れた。



「バケモノ!」



今日も 俺の事嫌う奴にボコボコにされる。
反撃しても、倍になっても返ってくるから、もう諦めた。



「(チクショウ…チクショウ、チクショウ!!!)」



蹴られて、殴られて、訳のわからない暴言を浴びせられて。
ぎゅうと唇を噛み締める。
どうせ 俺を助けるやつなんていないんだ。
自分ひとりで、乗り切らなくちゃ。



「お前ら、邪魔なんだけどー」


ダルそうにやってきたのは、いたずら仲間のシカマルだった。
ポケットに手を突っ込んで、俺の周りの奴らを足で退けていく。



「なにすんだよシカマル!」

「邪魔すんなよな!」

「うるせーな ダセー事してんなって ほら。俺はナルトに用があるんだよ」



散れ。
と言い放ったシカマルの目はとても冷たくて、睨まれた奴らは 覚えてろ と去っていく。
そんな奴らにシカマルは 忘れてやるよ とあかんべをした。



「……シカマル」

「ん?」

「…さんきゅだってばよ」

「ああ、いいよ別に。それに用事があるのはホントだし」



目の前にしゃがんでペラリと紙を突き出す。
きょとんとする俺に、シカマルはため息を吐いた。



「追試だって。俺とお前」






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