小説

□甘えたがり
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「飲みましょう ゲンマさん」


なんて シカマルから誘ってくるもんだから油断した(言い訳にもならねーな)。
机に並べられたとんでもない数のビールやカクテルに、底なしの俺でもびびった。

こいつ、ガキのくせに酒飲めるのか とか。
結構強いんだなぁ とか。

聞くタイミングはいくらでもあったが今更後悔したって遅い。
大量多種の酒にあれよこれよと夢中になった俺が悪い。
ふと気が付いたらシカマルは、顔を赤く染め目を虚ろにさせていた。



「(…まずったな……)」



明らかに酔っているであろうシカマルは、机に突っ伏して動かない。
なんでこんな行動を取ったのやら俺にはこれっぽっちもわからないが、このままじゃ風邪引くよなぁ なんてくすりと笑う。
とにかくベッドへ運ばねぇと。



「おいシカマル、起きれるか?」

「んぅ……やだ…」

「やだじゃねーよ ほら、ベッド行くぞ」

「ぅ〜〜……」



唸るシカマルをひょいと抱き上げてベッドへ運ぶ。
普段ならこのまま美味しくいただいちゃう所だが、シカマルも正気じゃないし部屋の片付けもしなきゃならないので本日は我慢だ。
シカマルも こんな状態でヤりゃ明日がつらいからな。

軽すぎるシカマルの体をそっとベッドに下ろす。
寝にくいだろうから結ってある髪留めも解いてやる。
はらりと落ちた黒髪に どきりとした事は内緒だ。



「(さてと、部屋の片付けを……… っと?)」



空き缶等で汚くなった部屋へ戻ろうと一歩踏み出したその瞬間、くん と服を引っ張られ動きを止められる。
くるりと顔の向きを変えると うっすらと目を開けたシカマルとばっちり視線が合った。



「行かないで」

「部屋の片付けしねぇと」

「明日でいい そんなの」



だからここにいて。
俺の そばにいて。

今にも泣きそうな顔をして、震える声でそう言った。
そんなシカマルを見て、ようやくわかった。
いつもポーカーフェイスで気丈に振る舞って、甘えたいくせにプライドなんかが邪魔して、酒の手を借りなきゃ出来ないなんて。
本当に、ガキだなぁ。



「ここにいるよ シカマル」



だから安心しろとでもいうように、ぎゅうと手を握ってキスをしてやる。
するとシカマルは幼く笑って、ゆっくりと瞳を閉じた。



「(あんまり可愛い事すんなよ)」



眠りに入ったシカマルの髪を撫でながら思う。

俺の理性も 限界すれすれなんだから。















「頭イタイ」

「飲めねーくせに張り切るからだろ」

「…別に飲めないわけじゃないし」

「……シカマル」

「なんだよ」

「お前はまだガキだから、甘えたっていンだぜ? 全部受け止めてやるから」

「…あそ」

「素直じゃないな」






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もっと甘々なゲンシカを書きたい(勝手にしろ)

読んでいただきありがとうございました!
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