小説

□頭でっかち
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気が付いたら目で追うようになってた。
1日で1回でも 姿が見えるだけで幸せだった。
話が出来たらもっと嬉しい。
一緒に仕事なんかして いろんな表情を見ているだけで、満足だった。

この感情が何なのかってのはわかってる。
わかってるけど、理解は出来ない!



「っっあり得ないっつの!!」



書類整理中に机を叩く。
一緒に仕事をするハヤテ先輩が動きを止めたのに、すいませんと謝った。
そしてもう一度書類に向きあったが、その内容はこれっぽっちも頭に入ってこない。



「(くっそ…)」



あの人の事 考えるとどきどきする。
あの人の顔を思い浮かべるだけで 顔が熱くなる。

わかってるよ、これが『恋』だって事くらい。
俺だって馬鹿じゃねーんだから。
これが『好き』だっていう感情だってわかってる。
わかってるからこそ、理解できないんだ。



「(どこでこうなった!? 何が原因だ!!? つか何であの人なんだよ!!??)」



頭ん中がぐるぐるする。
どうしてこんな事になったんだ。

だって俺は男で、あの人も男で。
世間的にも物理的にも結ばれるハズなんかないのに 想い続けるなんて。
つーか仮に世間的も物理的もアリだとしても あの人が俺に振り向く可能性なんてあるかもわかんないのに、こんな事考えて。



「(女々しい!? 俺 女々しいか!!?)」



考えたって答えは出ない。
普段なら、メンドクセーからもーいいやって諦めるのに!
自分の思考にも理解が追いつかない。
諦めてしまえば楽なんだ。
わかってる。
頭では理解してる。
けれど心は、思ったように動いてくれなくて。



「(うだうだ悩むのなんか柄じゃねぇ)」



もういい、メンドクセーから考えんのなんか止めた。
頭が追いつかないのなら、心が思うままに動いてしまえばいい。
たまにはそんなのが合ってもいいと思うから。

俺は決意を決めて、黙々と仕事を続けるハヤテ先輩に話かけた。



「ハヤテ先輩、ゲンマさんと仲良いっすよね」

「…はぁ……まぁ…」

「ゲンマさんの好きなもん、教えて下さい」

「……はあ…(それで百面相してた訳ですか…)」





頭で理解していなくても、感情はもうどうにもならない。

あの人が振り向いてもらえるように、動いてみるしかないんだ。






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シカちゃん アタック開始。

大丈夫だ 君にアタックされて落ちない男はいない!(ぉぃ)

読んでいただきありがとうございました!
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