poem -memorys-

□雪想い
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小さな風でも 時に僕の心を揺らす
もろくなったカーテンが捲れて 君が見えた
真っ暗で
何もなくて
そこは ただ朽ちていて
僕の 真っ青な空だった部屋までもが黒く染まった
君は僕に気づく
こちらをみて 小さく首を傾げた
顔は 妙に無表情だ
僕が戸惑っていると 君はすぐに興味を失ったようにまた何処かを見つめた
そして しばらくしてから身支度を彼女は始める
どこに行くの?
声をかけると 彼女は思い出したようにこちらを見た
指を指す
その先に見えるのは、どこまでも高くそびえる壁
いつのまにか 君の背には羽がある
両翼が同じ大きさじゃなくて 飛ぶにはひどく不安定な羽が
だけど君に不安の文字はない
来る?
一言だけ 彼女はそういった
そしてすぐ 返事を待つことなく飛んでいく
君がその壁を越えられたのか 僕は知らない
でも君は もう僕の傍にはいない
君は僕から去ってしまった

悪夢のように 何度も 何度も 同じその場面が繰り返される
怖くて 聞きたかった何かも 言葉にする前に掻き消える
君はいま何処にいるんだ?
それは 僕が追いつける場所なのか?
君は待っていてくれるの?
…僕は 君の傍にいれるのだろうか………

答えは来ぬまま 白い精霊が宙を舞う
僕だけが いつも足掻いている
必死で かっこよくもいられなくて
だけどどうしても諦めがつかない
触れたい
いますぐにでも 君の事
抱きしめて 僕だけのものにしてしまいたい
だけど叶わないって…知っているから
僕は君のように自分の心を縛り付ける
空はあんなに澄んでいるのに
僕の心は決してそれを映さない
こんな僕の瞳に君は気づいてしまうだろうか
黙って 無表情で振り返る君は 何を考えているのだろう
何もかも 雪で隠れていく
このまま地が真っ白になったら
僕の想いもその中で眠ってしまうのかな
そう考えると
君のいつもの正しい言葉も 僕にはただの雑音に変わる…

僕は迷う
君にとって 何が幸せなのか
子供みたいに ただそれだけを叶えてあげたいと思う
本当にわからないんだ
君は大人のようにただかたくなに何かを守ろうとしているけれど
時に涙をこぼさないように微笑みながら 痛みを我慢している
君を救いたいのに
君がそれを拒む
………僕の心は行くあてがない…

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