篭の中の二人,本編

□参
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──雲一つもねーな

日数的に今日は蝕が来そうだ

今日は、何人減ってしまうのだろう


「現在の生徒総数が105名…」


──何、

日向の呟きに耳を傾ける


「ヤーな予感するんだよなー」

「…え?」

「3で割り切れんだよ。人数が」

「……?」


──まじでか

六道はさっぱりという顔をしているが、俺は知ってる

──隔離型、か


「俺、誰と一緒になるかな」


と。突如、白い光が

──始まったか

さて、俺はどーするか


***


「…ぅお」


気が付くと、森の中

辺り一面木に囲まれている


「誰がいるかな」


──ガサッ

と、後ろで物音が


「誰だ?」

「あ、えと…」


──は…

姿を見せたのは、男の俺でも息を飲む程の美少年

背も高いし、優しそうな顔

──すっげー綺麗な人


「初めまして、こんにちは。君は一人なの?」


──って、

ソイツの声で我に帰る


「あ、あぁ。俺は宮弥時雨。よろしくな」

「宮弥?宮弥って…」


ソイツは、ふと何かを考えだした

そして

俺に抱き着いて来た

──……抱き着いて来た…?


「うわぁあああ!!良かった、良かったよぉおお!!!」

「えぇ?!!何、何なんだよ!!」


ソイツは急に泣きじゃくりながら(実際に泣いていた訳ではないが)叫びだした

当然のごとく俺には現状が飲み込めない


「宮弥くん…!生きてたんだね…!!」

「はい?」


今度はキラッキラと輝く満面の笑みで言われた

──駄目だ、俺ではさっぱり分からん


「あっ、」


ここでソイツは、俺が訳分からない顔をしてる事に気付いたようだ


「ご、ゴメン。勝手にペラペラと…」

「いや、大丈夫だけど」


実際全然大丈夫じゃないのだが


「俺、凍月泉(イテヅキ イズミ)。君のルームメイトなんだ」

「……あぁ!!」


あれ、"いてづき"って読むのか

あ、そこじゃないか


「いつまでたっても部屋に来ないから、死んでしまったのかと思って…」

「悪い、心配かけて」


どうやら、見かけ通り凄く優しい奴みたいだ

でも、多分こいつも


「お前、何も知らないで楢鹿に入ったんだろ?」

「……うん」


──やっぱりか


「本当に、何がなんだか分からなくて、それで、怖くて」

「そっ、か」

「一人も、嫌で」

「……あぁ」


不安そうな凍月

──俺が、守らないと


「もう大丈夫だ、俺は此処にいる。死んでない、お前は一人じゃねーだろ?」

「……うん、ありがとう。」


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