篭の中の二人,本編
□参
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「日向、はよー」
「あぁ、宮弥か」
──ん?
「おい日向、この二人誰?」
日向の隣にいたのは、やけに背の低い男子と、猫みたいな頭の女子
──何か見たことあるけど
「お前は初めましてなのか、こいつらは六道と比良坂。六道が俺のルームメイト。二人とも俺らと同じ一組」
──一組の生徒なのか
どうりで見たことある訳だ
「へぇ、そっか。俺は宮弥時雨。よろしくな」
「宮弥くん、っていうんだ。よろしくね」
「比良坂アイラです、よろしく」
──この二人…
多分何も知らないで入った奴らだな
まだ数日しかたってないのに、このやつれよう
──間違いないな
「おい宮弥、朝飯行くぞ」
「あ、あぁ」
***
「うめぇ…」
最近ずっと碧ちゃんと一緒にいたから初めての学食
まさかこんなにも美味とは
少し損をした気分である
──まぁ、碧ちゃんと食べれる方がいいんだけど
「…おかわり行ってくる」
と、いっても旨い、食いたいという本能には逆らえず
──こうして考えると、やっぱり楢鹿って凄い所なんだなぁ
──いろんな意味で
「お前、幸せそうに食うなぁ」
「ふぃははふぇふぁほほ」
「何つってんだよ」
「幸せだもの、って言った」
「あのな…」
餓鬼か、おめーは
日向が呟く
──うん、確かに餓鬼かもしれないな
──だけどな、日向
──いつ食えなくなるか分からないんだぜ
今、感じられる幸せは
明日、感じられないかもしれない
ならば身の回りの小さな幸せを、一つ一つ噛み締めたいじゃないか
「…そうだね」
──六道?
「今の幸せは大事にしないとね」
「そうだね!」
──比良坂まで
「…だよなっ!」
──今を、大切に
大切な人と生きていたいから
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