頂き物

□二人の日常
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朝。
リクオは黒板消しやら――――まぁ、一言で言えば雑用をするために他の生徒より少し早い時間に学校へ行った。
少し早いということもあり学校に着いても生徒は少なく、リクオのクラスの生徒も数人しか来ていなかった。いつも通り
倉田――青田坊は屋上で不審者の監視。
――雪女はリクオの雑用の手伝いをする。 「まずは黒板消しだね。」
「はい!」
元気よく返事をしたつららにリクオは微笑む。黒板を消し終われば出席簿などを取りに行ったりと大忙し。
出席簿を取り、つららと共に教室に戻ってくる。教室へ着いたときリクオとつららの二人の目が合った。
目が合った二人は互いに微笑み、その微笑みをを返すのにまた微笑む。傍から見ればなんとも仲睦まじい光景である。
「次は花だね。他にもやることはあるけど、今やることはこれくらいだね。」
他にやることはグラウンドの草むしりなどだが朝の休憩、つまり“今”たらなくてもよいので朝休憩の雑用はあと一つを残して終わろうとしていた。
恋人同士なのに家ではたくさんの妖怪が、学校では部活、休憩中も色々とあるリクオは忙しく何もせずゆっくりと二人で・・・というのはほぼなかったに等しいので、こういうのもたまにはいいだろうとリクオは思った。
「僕は枯れ葉の手入れとかしてるから、つららは花瓶に水を入れてきてくれる?」
「はい!リクオ様」
うれしそうにニッコリと笑い教室を出るつらら。今までつららのドジもなく早く終われると思っていた矢先。
「わっ!わわっ!」
水を入れた花瓶を持ちながらつららは何も無いところで足が引っかかりバランスを崩す。つららの焦った声が耳に入ったリクオはその光景に驚く。
「つらら!」
大きな声を上げ、すぐさま駆けつける。前のめりになったつららの身体はそのまま下へ行き、倒れる筈だった。
そして、花瓶もつららが持っていたのでもちろん落ちて割れる筈だった。
その時つららは落ちることを覚悟し、落ちてきた時の衝撃を耐える為に目をギュッとつぶった。
しかし、つららの予想した事態は起こらなかった。一瞬フワッっとした感覚になりその後つららは静止した。つららの身体はリクオの両手によって支えられていた。急な静止に驚いて花瓶を持っている手を離してしまいそうになる。
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