頂き物

□放課後の勉強
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斎藤(SSL)


「うーん…」
私は図書室で数学の問題集を広げ、頭を悩ませていた。もうすぐ定期考査が行われる為、それに向けての勉強をしているのだ。
(わからない…)
成績はさほど悪くはないと思う。定期考査で赤点を取ったこともない。ぎりぎりな点数を取った事は数回あるけれど。

数学担当の永倉先生の授業は解りやすく、点数が取れる教科の一つでもあった。今回の数学の範囲が中々理解できないのが筆が進まない理由の一つだ。

職員室まで聞きに行こうとしたけれど、彼は出張らしく不在。
(うーん、どうしよう)
そう悩ましていた時だった。
「千鶴、試験勉強か?」
「斎藤先輩!先輩も勉強ですか?」
後ろから声をかけてきたのは2年の先輩で風紀委員の斎藤一先輩。片手に教科書を持っているのを見ると彼も勉強しに来たのだろう。

「あぁ。ノートを見る限り全然進んでないように見えるが俺でよければ教える」

「本当ですか!?あ、ですが先輩の時間を頂くわけには…」
先輩からの申し出は嬉しい事だったがそれでは彼が目的にしていた事の妨げとなるのではないか。そう思い控えめに断ろうとしたが先輩はくしゃと私の髪を撫でてこう言った。
「気にするな。家でも十分できるからな」
「ではお願いできますか?」
「あぁ」
こうして今日の放課後は斎藤先輩との勉強会になった。



END
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