頂き物

□僕のモノ
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江戸から遠く離れた雪村の地で総司さんと私は毎日穏やかに暮らしていた。


それは桜も散る春の終わりの出来事、






「にゃー にゃー」



部屋で洗濯物を畳んでいた私はふと聞こえてきた鳴き声に手を止める。



『・・・猫?』



思わず首をかしげて私は鳴き声のする庭へ向かった。

そこには一匹の猫が居た。
綺麗な栗毛色の猫で甘えた声を出して私を見つめてくる。



『おいで』



私は縁側に座り、猫に向かって手招きをした。
猫は警戒する様子もなく、私の膝の上に飛び乗った。



「にゃー」



そういってすりすりと顔を擦り付ける。



『まるで総司さんみたい』



総司さんもよく私の膝に頭を乗せて甘えてくる。その総司さんが今私の膝の上で眠る猫と重なり、私はおかしくなり笑った。

そして猫を優しく撫でてやると気持ちよさそうにごろごろっと喉を鳴らした。



『可愛い・・・』


おもわず微笑んでしまう。





「いいなぁ、千鶴を独り占め」



ふいに後ろから聞こえてきた声に私は振り返る。



『総司さん、起きてらっしゃったんですか』



「うん、さっき起きたところだよ。・・・ところで千鶴?その猫どうしたの」



そういって総司さんが猫を指差す。



『鳴き声がしたので庭に来てみたらこの猫が居て・・・野良猫でしょうか』



「ふぅん・・・気に入らないな」



そういって総司さんは眉を上げる。



「僕の千鶴の膝の上で寝るなんて・・・・・・いい度胸してるね」





口は笑っているけど目は全然笑っていない。



『そ・・総司さん?』



思わず声をかけたそのとき、私は総司さんに後ろから抱きしめられた。
そして総司さんは私の頭越しに猫を見た。



「そこ、僕の場所なんだ。どいてくれる?」



総司さんがそう答えると猫はゆっくりと目を開け、総司さんを見上げた。
だがすぐに総司さんから目を逸らし、まるで自分の場所だともいうようにまた寝てしまった。



「・・・・・・どうやら殺されたいらしいね」


『やっやめて下さい、総司さん!』





猫と総司さんとの戦いはここから始まった・・・・・・?





End.
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