SHORT

□未来永劫の誓い
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「これよりリクオ様と氷麗様の婚礼の義を執り行う」

広い広間に響く鴉天狗の声。

ずらっと姿勢を正しく座っている妖怪達の前には白無垢を纏って頬をほんのりと赤く染める雪女の氷麗。
その隣ではどかりと堂々と袴を纏っているリクオが座っていた。

今宵行われるのは奴良組三代目総大将奴良リクオと元側近頭でリクオの護衛だった氷麗の婚礼の儀式。
リクオも18を過ぎ法律で結婚が認められる為人間として成人はしていないし、まだ学生の身。
身内、本家の妖怪から旧幹部の姿まである。

鴉天狗の堅苦しい挨拶が終わり、
今夜をもって、夫婦となるリクオと氷麗の誓いの言葉と自然の流れで出番がやってくる。


「では、リクオ様誓いの御言葉を。」


「あぁ。」

リクオは一言返し立ち上がる。
そして

「俺は未来永劫、氷麗を裏切らねぇ。主として、夫として、氷麗を…ーーーー家族を守ることを誓う。」

言い終わるとまた座る。

リクオの誓いの言葉に誰もが
“本当に頼もしくなった”
と思った。
過去を振り返れば悪戯坊主だったリクオ。
人間とし生きようとしたリクオ。

様々な困難があり、様々な経験を重ねたリクオは外見もそうだが、内面的にも成長し、大人になっていた。
氷麗もそんなリクオを見て自然にと笑みが溢れた。

「では、氷麗様」
「はい」

次は氷麗の誓いの言葉。
氷麗も
「私はリクオ様を裏切ることなく、百鬼の一任とし、妻とし…リクオ様を生涯支えることを誓います」
照れた仕草もありとても可愛らしい若奥様だと思う者もいた。

氷麗に失恋をした猩影や牛頭丸でさえも、リクオの側にいる氷麗は幸せそうだと目を閉じる。

恋を諦め、認めようと思った。
リクオも幸せそうに笑う。
本当に愛されているんだな、と改めて実感するリクオと氷麗。


夫婦となる盃を交わし、顔を見合わせればひっそりと笑う。

初々しい二人を見ていると心暖まる。
幸せな夫婦だと、こんな形を毎日見るのは良いが、エスカレートし何処でもかんでもいちゃつかれたらどうしようかと、先を考える者考えてない者がいた。
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