SHORT

□分かっていたハズ。でもスキ。
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《氷麗side》
分かっていた、でもあの人の優しい笑顔に胸の鼓動が速く打つ事を知った

それがどんな感情なのか分かってしまった
気付いてしまった……
イケナイと分かっているのに

感情を押し殺した
組の跡取りとして大切な若様…そして三代目
二代目が残した大切な宝
組の宝

そんな彼を好きになってしまった
なってはならないのに

リクオ様の経験が力と成して奴良組は強くなる
共に歩む、リクオ様と共に……
亡き先代鯉伴様の思いを背負って……

学校の屋上、私は今そこでリクオ様と対面している


「氷麗、僕氷麗が好き」



時間外止まったかと思うと心臓がドキドキと胸を打ち壊れそうになる
クラクラとして思考回路がなくなった……

嬉しくってその思いに答えたくって……
でも部下と主である私達の関係
もし別れてしまう運命があるのならば……
後が気まずくなるだけ
そんな思いをしたくない

三代目だから多分そのうち許嫁候補とか出てくるのだろう

辛いけど嫌だけど……

部下としてなら側にいられる
大好きな貴方の隣に百鬼として隣を歩ける
だったら……

「ねぇ、氷麗考えといて?僕が一人の男だってこと。部下とか主とか百鬼とか…全部抜きにして…氷麗の素直な気持ちを頂戴?」


見透かされていた気がした
リクオ様に
でもリクオ様の柔らかい物言い、声
でもどこか不安と悲しさが混ざっている

本気なんだと思った
そうしたら、私の答えは決まってる


「リクオ様が好きです……奴良組の三代目とか肩書きは置いて男性として愛してます」

顔を見るのが恥ずかしくって俯きながら答える
告白というものがこんなに勇気がいるものだと思った

「ありがとう…氷麗。僕も愛してるよ…」

捕まえた…私のぬらりひょん様
ぬらりくらりと受け流す彼を

こんな私を愛してると言ってくださった

ぎゅっとリクオ様の暖かい体温が私の身体を抱き寄せる
暖かくって居心地が良すぎて私は無意識に手をリクオ様の胸板に置き身を任せた

「氷麗」
「はい」
上から聞こえた声に顔を上げる

「あ…」
顔がとても近くにあって、唇が触れらるくらいの距離

「キス、していい?」
戸惑いながらのリクオ様が言うと私は頷いた
「ありがとう…」
優しくほほ笑む彼の顔がとても綺麗だった

私は目を瞑りリクオ様の気配を感じとる

チュ、と軽く触れるキス

離れた唇と顔
私達は笑った……

《氷麗side終》

《リクオside》
ずっと好きだった女の子
僕より年上な癖に初で照れ屋で可愛いと感じる
そして言動が仕草が綺麗で美しい

ずっと押し殺した想いが爆発した
色んな事件があって、氷麗に怖い思いをさせた
妖怪だって怖いものがある
だから、守りたい
この腕で足で身体で……
僕を守ってくれた父さんみたいに
大切な人を守りたい
僕は氷麗を屋上に呼び出し向かい合わせになっている

「氷麗。僕氷麗が好き」
思いをストレートに伝え返事を待つ
正直逃げたい気持ちに駈られた
氷麗だから、部下とか主とか気にするんだろうな

だから少しでもチャンスが来るように

「ねぇ、氷麗考えといて?僕が一人の男だってこと。部下とか主とか百鬼とか…全部抜きにして…氷麗の素直な気持ちを頂戴?」

考えて欲しいから本気で僕のことを
だから言った
氷麗は決まったように顔を上げるが真っ赤になってまた俯いてしまう
可愛いな、こういうとこ
「リクオ様が好きです……奴良組の三代目とか肩書きは置いて男性として愛してます」

嬉しかった氷麗から愛してると聞けて

「ありがとう…氷麗。僕も愛してるよ…」
やっと捕まえた…僕の雪
ふわふわしてて捕まえたら直ぐに消えちゃう雪

永遠に雪を捕まえることはないけど、やっと捕まえた…
僕は氷麗を抱き寄せた
抱き締めたかったから…
高鳴る胸の鼓動
氷麗の体温を感じた
冷たいけど温かいそんな感じ
氷麗は心が温かいからそう思うのかも知れない
氷麗は僕の胸板に手を添えた
僕は我慢出来なくなって氷麗を呼ぶ

「氷麗」
「はい」
声に顔を上げる氷麗
上目遣いっていうのかな、コレ
凄く可愛い
「あ…」
顔が近い距離にある、まぁ僕がそうしてるんだけどね
んー言って良いかな
最初はからかうつもりだったけど、本気でキスしたい
「キス、していい?」
戸惑いながら聞く僕に氷麗は静かに頷いた
僕は嬉しくて微笑んだ
「ありがとう…」

氷麗は目を瞑る

チュ、と軽く触れるキス

離れた唇と顔
僕達は笑った……

《リクオside終》




「愛してる氷麗」
「愛していますリクオ様」
end

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