SHORT

□love conflict
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夏休みが終わろうとする日、リクオは道場で牛頭丸と猩影三人と修行をしていた。
勿論ただの修行で済むわけがない。

「二人とも!いい加減諦めた?」
「黙れ!良いじゃねぇか!」
「断りますよ!」
三者竹刀で防攻を繰り返している。
一番傷が少ないリクオは余裕の笑みを見せている。
二人は少し息切れをしながらも息を正す。
「諦めてたまるかってんだ!」
「牛頭丸さんは元々姐さんに嫌われてるんだから勝ち目ないですよ!」
竹刀を構えながら言い合う彼らが戦う理由はただ一つ。
雪女氷麗をめぐる戦い。
少なからずの手加減がしているが基本本気だ。
各組の総大将や若頭が本気で戦ったらいくら奴良組の道場でさえ破壊しかねない。
それを分かっての配慮だが、半刻経てば結果が見えてくる。


「「はぁ、はぁ…」」
膝をつき肩で息を吸う牛鬼組若頭牛頭丸と狒々組二代目総大将猩影。
「疲れたぁー」
竹刀を杖に足を地に着かせる奴良組三代目総大将リクオの姿があった。
息が乱れながらも安定した息使いをするリクオはタオルケットで汗を拭くと動けない二人のタオルケットをもち二人の顔に被せた。

「ありがとうございます、リクオ様」
「ちっ…どーも」
タオルを渡してもらった二人は素直にお礼を言うとリクオは微笑んだ。
「どういたしまして!二人はまだ休憩してて、僕お茶持ってくるね」
「あ、すみません…」
「気が利くじゃねぇか…」
「ふふ、だってこの時間帯氷麗が台所にいるからね!」
「「!!?」」
驚く二人を置いていきリクオは氷麗がいる台所に走って向かう。
「「ふざけるなぁー!!」」
猩影と牛頭丸の声が空しく賑やかな奴良組の屋敷に消え去った。



「氷麗、冷たいお茶三つ用意できる?」
「はい♪リクオ様修行お疲れさまです」
ニコッと上機嫌に答える氷麗にリクオは笑う。
「ありがとう!やっぱり二人に修行を付き合ってもらうとやる気が出るよ」
違う意味でね。という言葉は心にしまい込みただ人がいい笑顔を見せる。
氷麗もリクオの成長を微笑ましくなる。

「そう言えばどうして猩影君と牛頭丸なんですか?」
「conflictが出来るからだよ」
「??」
聞き慣れない横文字に氷麗は首を傾げた。
「こん…なんです?」
「ふふ、ナイショ。何れ教えるから」
(教えるときは君への告白の時だけどね)
用意されたお茶を三つトレイに乗せてリクオは道場に向かう。
「あ、氷麗。ひとつ教えるよ。僕たちのconflictはまだまだ続くから、またその時は冷たいお茶宜しくね」
「?取り合えずお茶は用意させて貰いますね!」
「うん。ありがとう氷麗」
ニコッとまた笑いリクオは歩きだした。

道場につくと胡座をかき座っている二人。
「はい、お茶」
トレイを真ん中に置いた。
「なぁ、リクオ」
「ん?」
「俺らってアイツを狙って戦ってるわけだろ?」
「そうだよ。牛頭丸脱落は大歓迎だよ」
「それは俺も賛成です」
「ちげぇよ!」
リクオのちょっかいとそれに乗っかる猩影に牛頭丸はすかさずツッコミを入れた。
「牛頭丸がいいたいのって僕たちが衝突することをどう表すのかってこと?」
「……あぁ」
「「love conflict」」
「……は?」
牛頭丸も聞き慣れない言葉に間抜けな声を出した。
「だから、ラブコンフリクト」
「愛の衝突ですよ、牛頭丸さん」
「ふーん、らぶこんふりくと…か。」
「「ぶっ!」」
平仮名英語に思わず笑ってしまった二人に牛頭丸がイラッとしたのは言うまでもない。

いつ終止符がつくかわからない衝突。
その衝突のお陰で三人は日に日に力を付けていくのは言うまでもない。


えんど
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