頂き物

□二人の日常
2ページ/3ページ

「!おっと」
リクオはつららを支えている片方の手をすばやく離しグラグラとしている花瓶を持って近くの教卓へ花瓶を置いた。
「ふー。危なかった。」
リクオは花瓶を教卓に置いた手をつららのまだ少し不安定な身体に戻しつららを安定した体制――立たせるために手に少し力を入れた。つららを立たせるとリクオは安心したのかフゥっと息を吐いた。
「すっ、すみませんリクオ様。ありがとうございます。」
「大丈夫?ケガとかしてない?」
「はいっ!リクオ様のおかげです。」
それを聞いたリクオはつららを立たせるために添えていた手を離す。
「つらら、気をつけてね」
それはもちろんつららが危ないから気をつけてと言ったのだが、
「はい。花瓶が無事で良かったです!これからは気をつけます。」
つららはそうとうは思っておらず、花瓶が割れてしまうから気をつけてと言われているのだと思った。どこまでも鈍感なつららである・・・。
「つらら、そう言うことを言ってるんじゃなくて・・・」
「?」
てっきり花瓶の事だと思っていたつららには訳が分からなくなっていた。
「つららが危ないでしょ。大切な身体なんだし、こんな所でケガしてちゃ本番で意味ないでしょ。」
教室に数人いたので出入りのこととは言わず本番という。
「・・・はい!ありがとうございます!」
ようやく理解したのか、つららは元気よく返事をした。
「はい、終わり。」
教卓に置いていた花瓶を定位置に戻したリクオは朝の雑用を終えた。
「つらら、転けてもいいけど転けるなら僕の近くにしてね。」
「なんでですか?」
突然の発言に首をかしげるつらら。
「だって、そのまま転けちゃうかもしれないしなにより僕がつららを受け止めたいから。」
意味を理解したつららは少し顔を赤らめるがリクオの言葉が何より嬉しかったのかつららは満面の笑みを浮かべる。
「はい!これからはリクオ様の隣で転けます!」
「うーん・・・近くにいてくれるのはいいけど、転けないでね。」
近くにいる宣言をされたのはいいのだが
転ける宣言までされると微妙な気持ちである。
「屋上に行く?風が気持ちいいかも。」

「はい!」
そして、青田坊のいる屋上へリクオとつららは向かった。 二人の思いはより一層強くなって。 同じ教室にいたクラスメイトから話を聞いた巻などに隣で転ける宣言と
『リクオ様』
とつららが呼んでいることについて問い詰められたのだが、それはまた別の話。

fin.
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ