頂き物

□教師と生徒
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あれから、どのくらいたったのだろうか。数分かもしれないし、何十分たったのかもしれない。千鶴はいまだに離さないようにぎゅっと抱きしめている左之助に困っていた。
「あ、あの・・・そろそろ離してもらっても・・・」

「ダメだ」
「ですが・・・!」
そんなやり取りをしていた時。
「原田!とっとと職員室に戻りやがれっ!!」
と、土方の怒鳴り声が校内放送で鳴り響く。
軽く舌打ちをし、仕方なく千鶴の掴んでいた腕から手を離す。
「ったく、相変わらず人使いわりぃな。あの人は」
と呟き、彼女の名を呼んだ。
「千鶴」
「は、はい」
「続きは今度、な」
そう彼女の耳元で低い声で囁いた。最後に、ぽん、と彼女の頭に手を置き
「気をつけて帰れよ」
と言い残し左之助は置職員室へと足を向けた。


教師と生徒
この壁が失くなった時
堂々と彼の隣で彼の名を呼ぶ日が早く来ることを願う。


END
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