麦わら一味A
□デートしようよ!
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-キュパ キュパ-
雪が降り積もった道を踏みしめる
ドクター
まるでドラム王国みたいだよ
桜はないけど
僕寂しくないよ
だって‐
『チョッパー!!』
笑顔の花を咲かせたむぎこが遠くから手を振りながら こちらに走って来る
ほらね
ドクター
僕にも春がきたんだよ
僕はトナカイだけど
むぎこに
恋しちゃったんだ
むぎこは最近ルフィが(無理矢理)連れて来て(渋々)仲間になった女の子だ
みんなむぎこが大好きで いつも隣には誰かがいて
ちょっと諦めてたけど…
僕は勇気を出したんダッ!
まだ朝早い時間に
そっとむぎこだけを起こして
朝の散歩に誘い出した
嬉しくて嬉しくて
ちょっと走っちゃったから離れちゃったけど
エヘヘ♪
僕とむぎこだけだよ
二人…僕はトナカイだから二人って言い方は可笑しいけど この際無視して
二人きりダッ!
あ‐だめ
ニマニマしちゃう♪
『はぁっ…はぁっ… もう チョッパー急に走り出すからぁ‐…ん?何 ニマニマしてんの?』
「ギャァー!!近い近い!顔近いっ!!」
『チョッパー照れてる!可愛い〜♪』
真っ赤になって慌てるチョッパーを見てむぎこは更に顔を近付け抱き締めた
「散歩っ…!散歩しよう!!」
必死にむぎこの意識を反らせようとするチョッパー
むぎこも本来の目的を思い出したようで 笑ってチョッパーを離した
『はいっ♪』
「え?」
パッと差し出された手
見上げれば眩しい位の笑顔のむぎこがいて
背面には朝日が顔出して海面がオレンジに輝いている
眩しくて ちょっとチカチカする
『手 繋ぎたいなぁ‐って』
駄目だった?と小首を傾げて言うむぎこにチョッパーは ちょっと跳び跳ねた
「繋ぎましょうっ!!」
緊張の余り敬語になってしまったチョッパーにむぎこは笑いだす
恥ずかしくなったチョッパーが俯けば むぎこの手がチョッパーの手をとり 二人は手を繋いで また雪道を歩き出す
『たまにはいいね♪』
「うん」
本当は沢山話したい事があったんだ
昨日だって話す事 考えてたら寝れなかった位だ
なのに…
言葉が出てこない
沈黙が続く中
宛もなく
歩き続ける二人
むぎこ つまんなくないかな?
ふと気になり 見上げてむぎこの顔を そっと伺う
あ…笑ってる
『チョッパー』
「え?あ?オ?なっなんだ!!?」
『チョッパーの手 あったかくて気持ちいい♪』
「…そうか それは良かった」
俺 今 顔から火出てる
そう感じる位 顔に熱が集まるのを痛い位に感じるチョッパー
ピタリと止まり
『そろそろ引き返そうかっ♪』
「そうだな」
みんな起きて 二人が居なかったら心配するし とむぎこは言ったけど
違うよ…
きっとボコボコにされちゃうよ…(泣)
独り占めするだなんて たいした度胸だなぁ?おい
とか言われて
追い掛け回される…怖っ!男共 怖っ!!
恐ろしい妄想に身体がブルブルッと震えた
『寒い?あ そうだ』
心配そうにむぎこが言ったかと思えば 急にチョッパーを抱き上げ自分のコートの中に引き寄せた
「ぬぅわあぁあっ!!!」
突然の出来事に瞬間湯沸し器のごとく真っ赤になるチョッパー
そんなチョッパーに構わずむぎこは笑って あったかいでしょ♪と言った
「…」
こういう優しさが たまに くすぐったい
思い切って ぎゅっと抱き付く
むぎこの鼓動が服の上からでも伝わってくる
あぁ…幸せだ
そんな感情に浸る
『朝見る雪って煌めいてて綺麗だね♪空気は澄んでるし また一緒に散歩しよ…あ 寝ちゃってる♪』
クスクス笑ってチョッパーを抱き締める手に少し力を込めた
可愛い ぬくもりが離れないように
スゥスゥと聞こえる寝息
サクサクと辺りに響く足音
トクトク流れるように伝わる鼓動
煌めく雪景色で
全てが
とても美しかった
[終わり]