☆怪盗☆美少女三姉妹vV
□δ第1章δ〜平和な光に悪の影〜
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「いたぞ! あそこだ!!」
そう一声上げ、兵士の武装をした男が指差す先には、月光により浮かび上がる三つのシルエット。
「──まあ、見つかってしまいましたわね」
一際高い屋根の上から、ハエのようにたかっている兵士達を見下ろし、そう口にするのは、三つの中心に映える影。
「そりゃあ、こんな高い所にいたら目立つし、普通見つかっちゃうって;」
その右手に浮かぶ、少し小さめのシルエットの肩が竦む。
「──そろそろ、潮時ね」
左手に潜む影──髪を耳の下辺りで二つに結っているのがシルエットだけでも見て取れる──が、冷静にそう言い切る。
「では、今日はこの辺にしておきましょう」
「──それじゃあ、解散+」
その言葉を合図に、三つの影は散り散りに暗闇の中へと溶けていった。
「……また逃げられたか……」
ぬぅ、と兵士達の傍らに現れた男は、街灯の下でも漆黒に染まっており、その容姿はまるで獅子の様。
子供じゃなくても震え上がりそうなくらい怖い。
現に、いい歳をした大人達で構成された兵士の群衆からは「ひぃっ」という声もちらほら漏れていた。
「……師団長、追跡しますか?」
「いいや、必要ない。どうせ見つからんだろう」
軽く敬礼をした後にそう問った兵士の一人に、唸るような声でそう言い返すと、黒い獅子は後ろを振り返った。
「リグレット、今回の被害総額はいくらだ」
「一つ30万相当の宝石が3点で、約90万ガルドといったところだな」
両手に銃を握り締め、薄い金髪をうなじの上で結っている切れ長目の女は、淡々とそう答える。
「やはり100万は越えぬか……」
大柄な男は、巨大な鎌の切っ先をゆっくりと下に向けると、先程まで三つのシルエットが浮かんでいた屋根の上を見据えた。
「被害は少ないに越したことはない」
ごく自然な動作で拳銃をホルスターにしまうと、“リグレット”と呼ばれた女は片手を腰に当てる。
「だが、少々気にかかるところであろう。……満月の夜では、なかったがな」
「まあ、な……」
(面倒な輩に狙われたな、この街も)
リグレットはそう呟くと、半分が欠けている月をスッと見上げた。
今日の月が一段と朧んで見えたのは、気のせいだろうか......
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