☆拍手話し☆

□『雨宿り』
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「わ、降ってきた」

アクマの討伐をしていたアレンは漸く長かった戦闘に終止符を打ち最後の一体を破壊すると頭に降って雫の冷たさに気付き曇天を見上げた。

「…降って来るかなぁとは思ってたけど…」

ポツリポツリと徐々に降り出した雨にアレンはフードを頭からすっぽりと被り頭上で浮いているゴーレム、ティムキャンピーに目を向け

「ティム、中に入って」

手招きすればティムキャンピーはフードの隙間からスポッと中へ入り同時に左耳に付けているカフス式の通信機からノイズと微かに声が聞こえ指を当てた。

『……カ…ウォーカー…』

「リンク?もしもし?」

『…ウォーカー!聞こえますか?!』

ノイズ混じりに聞こえて来たのは自分の監視役を務めるリンクの声だった。

『ウォーカー、今どこです?』

「えーっと…ちょっと曖昧ですけど多分、街外れの近くです」

大群で襲って来たアクマ達に群がったままでは街に被害が出ると考えたアレンは移動し引き寄せたアクマを破壊していた為、リンクとは離れた場所に居た。

『全く君は…勝手な行動は慎みなさいと…れだけ…ったのに…』

ノイズ混じりに聞こえるリンクの溜め息と小言にアレンは苦笑し

「すみませんリンク。こっちは終わりましたから。そっちは?」

『当然、終わっています。それよりノイズが酷い様ですが?』

「そうですね…この雨のせいかも」

降り出した雨を見つめながらアレンは答えゆっくりと歩き始め

『本格的に降り出す前に…落ち合い…しょう。私は……に…ますから…君は……』

「リンク?」

徐々にノイズの音は酷くなり遂にリンクの声は掻き消されアレンは足を止めリンクの名を呼び続けた。

「リンク?おーい」

しかしリンクとは繋がらなくなりアレンは小さく息を吐くと再び路地を歩き出した。

「参ったな…リンクが何処に居るのか分からないと…」

―落ち合えないじゃないか…―

方向オンチである自分が今、何処にいるのかも分からない状態にあるだけにアレンは困惑しつつ辺りを見回し勘を頼りに道なる道を進みだした。

「……嘘ぉ……;」

暫く歩いていると雨は更に激しくなりバケツの水をひっくり返した様な勢いになり始めアレンは慌てて近くの建物に入った。

「…ここで雨宿りするしかないな…」

扉も着いていない中が剥き出しになった建物は人の気配、生活感は無く埃臭かった。
 
 
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