☆拍手話し☆
□『髪型』
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それは談話室での事だった。
「…ねぇ神田」
「あ゙?」
ソファーに座り愛刀、六幻を手入れする神田とその後ろで神田の髪を結うアレンの姿をジッと見つめていたリナリーは口を開いた。
「神田っていつもポニーテールか下ろして後ろで一つに束ねてるかよね?」
「それがどうした」
「たまには髪型、変えてみない?」
「は?;」
「あ、それいいですねリナリー!!」
「でしょ?!毎日、同じパターンの髪型じゃ見飽きちゃうし」
「なっ!何言ってやがる!!;」
「いいじゃない〜たまには〜」
「そうですよ〜神田〜」
逃げようとする神田にアレンは尽かさず両手首を掴み動けなくしリナリーは立ち上がりその手には櫛と輪ゴムが握られていた。
「髪型変えたら気分だって変わるわよ〜神田」
「雰囲気だって変わっちゃいますよ神田〜」
「テ、テメェら…っ!!;」
ニコニコ笑う二人の笑顔は黒く神田は六幻を振り回そうとするがアレンが左手に力を込め六幻は手から落ち床に突き刺さった。
「駄目よ神田。暴れちゃ」
黒い靴(ダーク・ブーツ)を発動させるとリナリーは徐に六幻を蹴り上げ六幻は天井に突き刺さった。
「六幻−−−−−!!!!!!;」
「はいはい大人しくすれば後で取ってあげますからね〜」
「テメェら後でぜってぇブッ殺すっ!!!;」
「はいはい分かったから」
リナリーは神田の髪紐を取るとサラリと肩を流れる髪を見つめ顎に手を添えた。
「どんな髪型がいいかしらね…」
「うーん…スーマンみたいにオールバックとか?」
「あら、駄目よ。スーマンは結局、ハゲちゃったじゃない」←(違うし)
「じゃあリンクみたいに三つ編み?」
「…おさげも可愛いけど団服にはちょっとね…。セーラー服ならバッチリだけど」
「おいコラ…;」
「あ、いっそ兄さんみたいに巻き毛にしてみるとか?!」
「巻き毛…」
アレンの頭の中ではベルサイユの薔薇に出て来るアントワネットやオスカルが想像されていた。
「……ヅカになっちゃいません?;」
「ヅカ?」
「おい!いい加減にしろよお前ら?;」
「この際だからブックマンヘアーなんてどうでしょうか?!」
「ブッ!いいわね…ナイスよアレンくん…!!」
「頼むからもう死んでくれ…お前らは…;」
そして、ヘアースタイルの相談は何時間と話し合われた結果……
「ふぅ!出来たわ!!」
「わぁ!似合ってますよ神田!!」
「………;」
昔のリナリーのヘアースタイル、ツインテールへとされてしまった神田は俯きながら小刻みに体を震わせリナリーは満足気な表情をしアレンはパチパチと手を叩いた。
「可愛いくなって明るい雰囲気になったわね神田」
「………」
「これで近寄りがたい雰囲気ともオサラバですよ神田!!」
「お〜いリナリー、コムイが呼んでって…」
談話室の扉を開け中を覗き込んだラビは神田を見てギョッと驚いた。
「ユ、ユウ?!;」
どうしたんさと問い掛けると神田はキッと睨み付け
「兎!コイツらに何とか言ってやれっ!!」
「は、はい?!;」
「俺が常に髪を結い上げてる意味だよ!!」
「え?!意味なんてあったんですか?!;」
「嘘!?;」
どう言う事なんだと見つめて来るアレンとリナリーにラビは困った様に頬を掻き
「あ゙〜…うん…;アレはさ…ユウのお気に入りの髪型なんさ;」
「は?!;」
「お気に入り?!;」
「ほら、教団でポニーテールしてるのってユウだけじゃん?
ウチのジジィは例外として。ごまんといる団員の中でも自分だけその髪型だからって自慢してたんさ…;
直ぐに見付けられやすい髪型だし…;」
『えぇぇぇ……?;』
―自己主張?!それって自己主張ですか神田さん?!;
しかもさり気なくポニーテールで?!;―
―自慢してたんだ神田…;しかもお気に入りって…;―
どんよりと沈む神田を宥めるラビにリナリーとアレンは二人を見つめながら突っ込みたい言葉をなんとか必死に呑み込むのであった…。
〜珍しく苛められる神田さん(笑)
ポニーテールの真実には実はこんな裏があったのだった!!(ウソウソ!!;)〜