☆拍手話し☆

□『そんな君だから』
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「………珍しいな…」




怪盗Gの事件、終了後…手当てを受け自室に戻ったアレンは部屋のシャワーを浴びに入り監視役であるリンクは今回の任務をルベリエ長官へ報告する為、書類を書いていた。

暫くしてシャワールームから出て来たアレンはまだ濡れたままの頭にタオルを被せボタンの留めていない白いシャツを羽織りズボンと言うラフな格好で出て来た。

普段ならドアの開いた音でリンクが顔を出し身嗜みを整えなさいと小姑の様に言って来る所だが今日は顔すら出して来ないリンクにアレンは首を傾げ部屋の奥へ向かった。

「リンク?」

ヒョコッと顔を出せば机の前できびきびと書類を書いているリンクの姿がある筈だった。
しかし今、そこには書類や分厚い本を周りに置き机の上で腕枕をし規則正しい寝息を立て眠るリンクの姿があった。

「まさか居眠りしてるなんて…」

普段、自分より遅くに眠り起きる時は自分より早い人だけにその寝顔を見るのは初めてでとても貴重な事だとアレンは思った。

「よっぽど疲れてたんだろうな…」

机に手を着き膝を曲げ座り込むとアレンはジッとリンクの寝顔を見つめ続けた。

普段から超が付く程、真面目な人。

何をするにも目配りをして一つ一つの行動に口を挟んで来る。

それがうざったい時もあるけどそれは常に彼が自分の事を見ていてくれている証拠でもある。

周りのみんなは煙たがるけど僕にとっては…ちょっと嬉しい気もするんだ。

こんなにも真剣に僕の事を見て聞いてくれる。
反発する事は多いけどちゃんと意見を尊重してくれたり同意してくれる事もある。

「…素直じゃない所がちょっと神田と似てるかな…」

クスッと笑うとアレンはそっとリンクの頬に貼られた湿布に触れ

「…素直じゃないけどちゃんと分かってますよ…君が僕に意見するのは心配してくれてるからなんだって…」

指先で撫でるとアレンは目を細め

「…それが嬉しいんです僕は…///」




いつも厳しい君だけど時々、甘やかしてくれる。



何だかんだ言いながらも僕の為にお菓子を作ってくれる。




監視だからと言いながらもしっかり僕をサポートしてくれる。




エクソシストでも無いのに僕と同じ状況、立場に立って戦ってくれる。




そんな君だから…僕はつい甘えてしまうんですよリンク?

「…今回も手伝ってくれてありがとうリンク」

「……ん…」

小さく身じろぎ目蓋が上がるとアレンは慌てて手を離しリンクを見た。

その本人は一瞬、驚いた様な表情をしたが直ぐに呆れた様な顔をし

「…何をしてるんです?アレン・ウォーカー」

「いやぁ珍しくリンクが居眠りなんかしてたからちょっと貴重だなって思って。ティムに映像記録をさせておこうかと…

「君は!!また金銭で人を揺する気ですか!?;」

以前、新たなエクソシスト。ティモシーの能力で乗り移つられたリンクに脅しで退魔ノ剣を突き刺した際、喚き泣きじゃくってしまった顔をティムキャンピーが映像記録し
それを後日、本人に見せ金銭的商談をしてみた所、逆ギレを起こすと言う一件があった。

「冗談ですよ冗談。記録はさせていませんから安心して下さい」

クスクスと笑い立ち上がればリンクも椅子から立ち上がり

「…本当でしょうね?」

「嘘は着いてませんよ?」

「ならいいのですが…それより!!」

「うわぁ!!;」

急にタオルで髪をグシャグシャにされ揺さぶられるとアレンはリンクの手首を掴み

「また乾かしもしないで出て来て!風邪でもひいたらどうするんです?!
先の戦いで只でさえ熱があると言うのに!!

「あ゙〜揺れ…揺れるぅぅ;」

「我慢しなさい!この寒いのにボタンも留めないでシャツ一枚で出て来るなんて…!!」

首元までしっかりボタンを留められるとアレンはされるままになりながらも小さく笑い

「…何がおかしいんです?」

「あ、いえ!ただ…ちょっと…」

「ちょっと何です?」

「もしお母さんがいたらこんな感じなのかなぁって思って///」

「………;残念ですが私は君の母親にも召使いにもなる気はありませんから」

「だからちょっと思っただけですってば;」

「思っても口にしない様に。それよりちゃんと髪を乾かして来なさい。ドライヤーがシャワールームにあるでしょう?!」

「はいはい;」

「返事は一回!」

「はい!!;」

逃げる様にシャワールームに入ればリンクはゆっくり溜め息を着き赤くなった顔を手で覆った。

「…本当…勘弁して下さいよウォーカー…ッ///」

―湯上がりであんな格好でウロウロされてたんじゃこっちの理性が保たないじゃないですか…!!///―

「…それに…」

リンクはそのままアレンが触れた頬の湿布にそっと自分でも触れ

「……途中から狸寝入りだったなんて言えませんね…///」

「リンクー?何か言いましたぁ?」

ポツリと呟いたのが聞こえたのかシャワールームから声を上げるアレンにリンクは慌て

「な、何も言っていませんよ?!///;」

「?そうですか〜?」

「気のせいですよ!///;」

そう言うとリンクは再び椅子に座り込み深い溜め息を着いた。

「…公私混同か…全く…彼に出逢ってから私らしく無い…///」







果たして何処までこの理性を保てるのか…


彼はいつこの気持ちに気付くのか…


期待と不安が複雑に交差しながらいつまで経っても進まない白紙の報告書を前にリンクはただただ海よりも深い溜め息を漏らすのだった…。












〜初のリンアレでした!リンアレと言うよりリン→アレっぽい感じになっちゃいましたね(笑)
アレンは無自覚に近いしリンクを異性と言うよりお母さんと言う感じで見てます(笑)
リンクの恋(?)は果たしてどうなる事やら…と気になる感じで締めてみたりする(おい)〜

 
 

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