‡小話‡
□Lotus
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眩い光りに包まれて落ちた先には砂漠を思わせる様な砂場だった。
「はぁっ…はっ…はぁっ…」
アルマを護る様に抱き締めたまま体勢を捻らせ背中を地に向けると砂場がクッション代わりになったお陰か差ほど体に響かず俺は起き上がった。
「……!?」
―見覚えがある…ここは…―
モヤシと初めて行った任務地、南イタリアのマテール。その地下にある隠れ家だ。
「はぁ…は…」
目の前に落ちてくる星屑の様な欠片に天井を見上げると俺達を運んで来たゲートがバラバラに散らばり始めていた。
俺は無意識に手を伸ばしその欠片が手の平に落ちるとボシュと音を立てまるで雪の様に消えてしまう。
「…ゲートが崩れていく…」
俺達の…正確にはアルマの後を追わせまいときっとモヤシが向こう側からゲートを破壊したのだろう。
「は…は…」
今、思えばアイツには無茶な事をさせた。
ただでさえ教団から異端者と見られ『14番目』疑惑を掛けられているのに
胸につかえていたモノをぶちまけたのに
アイツは俺とアルマを伯爵と教団の奴らから逃がした。
自分の立場を更に悪化させてまで…
「…モヤシ…」
あんなに必死に笑顔を作って…
「かわいそうな子…」
「!」
アルマに視線を向ければアルマは哀しげな表情をしていた。
「ぼくにはわかる…千年伯爵の分身であるアクマには…感じ…るんだ…
あの子はノアだよ…。それも…ひどく伯爵と……っ!!」
再びアルマの身体が崩れだし俺はアルマを抱き寄せた。
「もう喋んなバカ」
「ハァ、ハァ…ユ…ハァ、ユウ…」
アルマは必死に力を振り絞り俺の肩に手を着いた。
「このまま見てて…イノセンスは使わないで…っ」
「わかってる」
六幻はモヤシに預けて来た。だから大丈夫だアルマ
「ぼくの魂がダークマターに潰されるまで…」
「あぁ」
「今でも教団が許せない…っ憎くて……たまらないよ」
大粒の涙を零しながらアルマは必死に自分の思いを俺に伝えようとしている。
「でもぼくは泥に沈むべきだ…ぼくは殺した…たくさん…
…伯爵にまで力を貸して…たくさん…」
「わかってる」
俺はその思いに応える様にアルマを宥める様に抱き締めた。
「わかってるから」
お前の云いたい事はちゃんとわかってるよ…
お前の望みもちゃんとわかってるから…
「ずっと見ててやる」