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□comes back early
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以前、リナリーに女の子はこう言う花や泡の入ったお風呂が好きなのだと聞いた覚えがあったのを思い出しアレンは納得し
「わざわざ気を利かせて男湯にまで入れてくれたのかもしれないな」
リナリーに会ったらお礼を言っておこうと考えつつシャワーの並ぶ椅子に座ると頭からシャワーを浴び体を洗った。
「ふぅ…」
さっぱり綺麗になればアレンは腰に巻いていたタオルを取り湯船へ足を浸しそのままゆっくり中へ入り座り込んだ。
「あ〜気持ち良い〜…」
じわじわと体に染み込む適度なお湯と甘い花の香りにアレンは完全にリラックスモードに入り幸せそうな表情をし空を見上げた。
「…綺麗だなぁ…」
すっかり日の沈んだ空にはぼんやりと大きな月が浮かんでいてアレンはボーッとそれを見上げ続けた。
「………」
―そう言えば最後に神田と一緒にお風呂に入ったのはいつだったかな…?―
真っ暗な空は漆黒の瞳と髪を思い出させアレンの脳裏には自分を見下ろして来る神田の姿が写っていた。
互いに擦れ違いの任務が多く最近では出会う事すら無い。
最後に彼に触れたのはいつだったか。
最後に彼の腕の中に抱かれたのはいつだったか。
それすらももう随分と昔のような気がして…
そう考えると胸が少し苦しくなって虚しいだけだとアレンは考えるのを止めた。
「……あれ…?」
暫くジッとしていると目の前が微かに霞みぼやけアレンは目を擦り
「?何だ…?」
次第に頭がぼぅっとして来るのを感じるとアレンは湯船から立ち上がり
「逆上せちゃったかな…?」
神田と違い元々、お湯に長く浸かる習慣の無いアレンはお湯に当たったのかもしれないと感じ急いで湯船から上がるとそのまま脱衣場へ向かった。
しかしその足すら上手く歩けず少しふらつきながら前へ進み
「ヤバ…本当に逆上せちゃったかも…;」
―そんなに長く入って無かったのに…;―
ともかく、上がって体の熱を冷ませなければとアレンは脱衣場に入ると新しいタオルを手に取り体や髪の水気を拭いだした。
「………;」
―うわ…どうしよ…;なんか段々、体が熱くなって来た;―
とりあえず水分でも補給しようと半ば適当に水気を取るとアレンは覚束ない手付きで服を着用し団服をそのままにしフラフラしながら大浴場を後にし廊下を歩いた。
「班長!早く早く!!」
「分かってる!」
アレンがいなくなった直後、慌てて駆け付けて来たのはジョニーとリーバーだった。
「全くウチの室長が何もしない日には支部長かよ!!;」
「二人共、似た様な所がありますからねぇ…;」
大浴場の前に着くと二人は抱えて来た縦長の看板を扉の前に立てた。
その看板には英語でこう書かれていた。
『放浪魔のアジア支部長により湯船には劇薬が混入されています。
只今、入浴するのは非常に危険ですので大浴場の使用を禁止します』
「ゔ〜…;」
フラフラと歩き続け漸く部屋に着いたアレンはテーブルの上に置いてあった水差しを持ち上げるとグラスに注ぎそれを口にし喉を上下させ一気に飲み干した。
「……っはぁ…」
飲み干しはしたものの渇きは変わらずまるで飢える様でアレンは段々、呼吸が荒くなるのを感じ始めていた。
「はぁ…はぁ…」
―おかしい…本当に逆上せただけ何だろうか…?水を飲んだのに…全然…体が冷えない…いや…逆に…―
「…ハ…熱い…っ」
ギュッと自分の腕を抱き締めるとアレンはそのままベッドに倒れ込んだ。
「は…は…っ」
―熱い…体が…焼ける様だ…っ―
静まらない熱と戦い身を丸くするとふと目の前に白いシャツが置いてある事に気付きアレンはそれに手を伸ばした。
「…これ…神田の…」
今、思えばここは神田の部屋。
いつの間にか無意識にここへ来てしまったらしい。
当の本人はアレンと同じく任務に出ている。
団服に着替える際に脱いだらしいそのシャツには神田の匂いが残りアレンは目を閉じシャツを抱き締め鼻を埋めた。
―あぁ…神田の匂いだ…///―
肺の奥まで吸い込めばまるで神田に満たされる様で
強くシャツを握り締めゆっくり息を吐くとズクン…と下半身が鈍く疼きアレンは目を開き
「………///」
―な…何を感じてるんだ僕は…!!///
神田の匂いを嗅いだだけでこんな…っ///―
風呂に入った熱とは別の熱に気付くとアレンは顔を赤くし更に身を縮み込ませ俯いた。
「…ぅ…く…っ///」
必死にその熱を抑え付けようとするがどうする事も出来ず体の中でグルグルと渦巻きアレンは息を呑むと恐る恐る手を下へずらし股間の中心へ忍ばせた。
「………っ///」
触れてみればそこは既に熱と硬さを持ちズボンを張り上げていた。