short*over

□恋路の闇
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*ガゼル視点






アイツは、そうだ


バーンに、よく似ている…







「………また来たのか貴様………!」


「よぉ」






今日という日も終わるであろう頃、ソイツはいつもの様に姿を現した



練習で疲れ重くなった体を休めようと自室のシャワー室で体を洗おうとしていた所だ





「どうしたら貴様は鍵を開けられる?個々の研究所の各部屋は指紋認識のはずだが」


「さあ?何でだろうな」




そう言ったのが合図のように全裸の私へ詰め寄る



何故か最初にいつも、首の匂いを嗅ぐのだ



「ねぇ……お前はバーンでは無いのか?誰だと言うのだ」


「………俺は違ぇよ。まあ言えば、バーンの一部」



「へ、……ひゃ、ひ、ぐぅ……!止め、止めろよ……今日は嫌だ……」




ソイツは首を舐めると、人より鋭い犬歯を首の肉に食い込ませる



ズキッと痛むのに、何故だか鳥肌が立つ様な快感に襲われる



「んく………」



ソイツの喉が鳴る音がする

血を吸われている様だ



「ひ、はぁ……!や、ぁ……やら、あ」



頭がボーっとしてきた所で歯を抜かれ、その場に崩れ落ちる



「ご馳走さん」


まるで人間の様に律儀に手を合わせていた



「ふざけるな……何で貴様のために、いつも、いつもいつもいつも!血なんか吸われなきゃ……」


「ああ、さっきの質問がまだだったな」


私の質問はサラリて交わし、先程の話題を持ち出す


「おい!」


「俺は、アイツ…バーンの裏の部分の集合体みたいなもんだ」


「は………?」


まるで非人道的な事を言っているソイツは言葉を続ける


「裏ってのは……表向きじゃない感情の事だ。それくらい分かるよな?」


話に追い付いていない私であったが、肯定するしかなかった


「んで、バーンの感情ってのはだなぁ」




──アイツの本当の気持ちが分かる


何故最近私を避けているのかが分かる気がして、全身全霊に耳を傾ける










「お前を、食らい付くしたい」



「……………ん?」





何故だろう。固まるしかないのは





「だってよー……まあ俺が知ったこっちゃないけど……でもな」



呆然とする私を余所に、言葉を紡ぐ



「今、どうしようもなく、腹減ってるってのは否定できねぇな」




バーンが、私を食べたいって………


意味分からないんだが……


「お前の事が可愛くて、可愛くて………でも手を出したら歯止めが利かない」


私を抱き締めて、バーンの言葉を思い出すかのように目を瞑る



「他の奴に取られるかもしれない、養子先が決まってしまうかもしれない、自分の元から離れて行ってしまうかもしれない」


「アイツ……まさかそんな事を?」




「だから、」



言葉が途切れ、異様に緊張する









「殺すまで、食らい付くしたいって」


「ひっ………!」




髪を鷲掴みにされ、小さな悲鳴を上げた



バーンは風呂の壁へ私を押し付け、内腿を撫で上げる



「ひゃ、や、やぁ!んく………気持ち、悪い……!」


「ま、いいけど………お前女みたいな体してんな」




耳元で囁かれ、鳥肌が立つ

「耳、や、めろ………!」




へぇ、とバーンは呟き、耳に舌をねじ込ませる



「わ、たひはぁ……男、だぁ……!」



「今時んな事言う奴居ねぇよ……何か旨そうな匂い出てんだよな……いっつも」


「ん、やだ!やだぁ……ひ、ぐううう!」
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