short*sweet
□可愛い君
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*晴矢視点
「晴矢こっち!早く!もー無くなっちゃうじゃん!」
「へいへい………大丈夫だろそんな急がなくても……」
「時は金成だよ!先行くねもう、後から来て晴矢は」
「りょーかい」
これだから可愛い物大好きっ子は……
彼女の小さな背中を見送りながら頭を掻いた
今日は大学も休みで、久々のデートだった
なのに、風介ときたらこれだ
末期的な可愛い物好きで、どんな事をしても自分が可愛いと思った物は手に入れようとする
かなり重度である
駅の近くのショッピングモール街にある、風介が行き付けの服屋へ行く所だった
何やら新商品が出たらしく、風介は店へ急いでいた
……服屋とは呼びがたい店だが
後から店に着くと、店の真ん前に立ち、溜め息を漏らす
その店は兎に角ピンク、ピンクピンクピンク
男としては入り難い事この上ない店だ
「外で待ってっか……」
仕方なくUターンすると近くの自販機で缶コーヒーを買う
11月になったばかりだというのに、気温は5度に満たない
外で待っているといってもこれがまた辛い
「さみー………てかまだかよアイツ……」
いくら何でも遅すぎだろう
また店の前まで行き、中をそーっと覗いた
「あ、ちょ、店長ー!私今日お金あんま持って来てないんですって。」
店長と呼ばれた男は風介に次々と服を渡していた
「………うわぁ………」
思わず、素直な言葉が口に出る
───何だあの服
丈が短いスカートには、これ又コンモリと大量のフリルが縫い付けてあった
「だって風ちゃん、今まで来たどの客より可愛いの似合うんだしさ」
店長は風介の頬をつっついていた
「んむ?」
風介が振り向いたら頬に当てられた店長の指が風介の頬に食い込んだ
店長は風介の頬をプニプニと触ると、風介はむー…とむくれていた
「あ、風ちゃんー!今日も可愛い頬っぺただねぇ♪」
風介は周りに群がる人にわざわざムキになっていた
「子供扱いしないでよ…!褒めるなら頬っぺたじゃなくて服褒めてよー」
「あーそんな怒らないのー…だぁってさー風ちゃん可愛いんだもん!ちっこくてさーー」
「気にしてるんだから!」
まあ…………こう見ると…
他の奴よか全然可愛いよなぁ……
我が儘な所あるけど