short*sweet

□last letter
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*晴矢視点







「それじゃあね」 






額に感じるのは、少し暖かい柔らかい唇の感触



音も立たず伝わった温もりはやがて、溶けるように消えて行った



風介はフッと笑うと、トラベルバッグを転がして、部屋を出て行った




「……………」



何も、考えられなかった
何も、分からない



引き止める事も出来なくて




ただ、虚無感だけが残る



「…………?」


自分でも何が何だか分からず、何故か身体が身震いする


風介が居なくなった途端に

おいおい、よせよ


俺は風介依存患者じゃねぇんだ

「……おさま、れ…治まれって……」


足をもたつかせながらも何とかソファーに腰掛けた


「さむ………」


震えの後にはヒンヤリと冷たい空気が肌に直接伝わる様な感覚に襲われる



『どうした、寒いのか?なら私が温めてやろうか?』

「風介!」



バッと振り返れば、ただの空間を見ていた。


目の前に、愛しい風介は居なかった。



ただの、幻聴



「糞……ざけんなよ馬鹿風介………」



折角、分かり合えたと思ったのに



好きで、本当に唯一心から愛せた奴なのに



好きで、本当に好きで


なのに、上手くいかなくてまた、駄目になって



寂しい。ふざけんな、何で俺がこんなんなんなきゃいけねぇんだ



ふと、ガラステーブルを見て二人で笑顔で写っている写真を見つけた



「何時のだっけ……」




あ、ああ、思い出した


確か同居記念に部屋ん中で撮った写真


この部屋に残された二人の思い出なんて、この写真くらい



すると、写真立ての下に、封筒の様な物がある


「……………?」



封を開けると、中には3枚の紙が入っていた



「これ………風介の字…か?」

中の文を急いで読んだ




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