short*sweet

□何て事無い戯言
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*バーン視点








「ガゼ………」


「帰れ」




まだ部屋に入っただけだというのに……


いきなりの門前払いに凄まじく落ち込んだ




「俺はガゼルという女男に毎日会わないと死んでしまう病気に掛かっててな…?」



「あーはいはいはい……よーく分かった。だから帰れ」



全く気に留めないかのようにこちらに顔も向けずにフォーメーションをノートに書き変えていた




「おめーも固っ苦しい事すんだな」


「余計なお世話」





ああ、会話が続かない


まあ俺がガゼルの所に来た目的は正しくはガゼルの顔が見たかっただけだ





「やっぱりお前は、気付かない……よなぁ………」



するとガゼルはこちらをチラッと見てきた


わざと寂しい表情をしてやった



「何だ言いたい事あるなら佐々と言え」



「サッカー……出来なくなるらしい……」





まあコイツがこんな事信じる訳無いし、勿論嘘八百である



「え………え……?」


更に追い討ちを掛ける様に言葉を続ける



「やっぱり研究所のエイリア石の強化の為に医薬品投与の被験体になっちまったからかもな…」


「嘘、だよね…?だって私そんな話一回も……」


「本当だ……頸椎がやられててさ、下半身は麻痺し始めてんだ……」



我ながら迫真の演技…!



「あ………え……」


やべえ、ガゼルうける

真面目に信じてるらしい






「う……ぅぅ………馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!」 



いきなり下を向きながら、口からはガゼルにしては頭の悪そうな言葉が連鎖的に出てくる



「だ、いじょぶか?どした」


何故自分がガゼルの事を心配しているんだろう、とどうでもいい考えが頭を過る


「何で早く言わないんだ大馬鹿者!!」



物凄い剣幕で怒ってこちらを振り返るが


その顔は凄い形相ではなく


眉を下げて目尻に涙を溢れんばかりに浮かべた顔があった









か…可愛いーー…






その一言しか浮かばなかった



「おい、泣く程の事じゃないだろ……」



「うる、さ……だって、だってぇ……嫌だ、やだ……」



どうやら泣いている時に限り精神年齢がガクッと下がるようだ





まるで子供の様に泣きじゃくるガゼルを見るのは何時ぶりだろう




ああ、可愛い可愛い
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