ss

□mistake
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聖櫃の材料“永遠の炎”を手に入れるまで



いろんなことがあった



本当に、なんか色々ありすぎて疲れた



けど



でもとりあえず“永遠の炎”は入手できた









「つーわけで、褒めて」




「はぁ?」





なんであたしが、と言いたげな目で…刺すような視線がちょっと痛い


でも、こんなんで折れるわけにはいかない



なぜなら、どうしても今日はシェリルに認めさせたいことがあるから



「だって今回俺サマ、すっげ〜頑張った!
危険な火口にまで登って“永遠の炎”を取ってきたんだぜ?
ちょっとくらい労いの言葉があってもいいんじゃねーの??」


「あー…、おつかれさま。」


「…………それだけかよ」


「だって、労いの言葉がほしいっていったのはアンタでしょ」


「いや、まあ確かに労いの言葉が欲しいとは言ったけど…!
そんな軽いの嫌すぎるぜ?!」


「じゃあなに、ご苦労様?」


「対してかわってねーじゃんかっ!
シェリルー、そうじゃないんだよ…!」






たぶん、シェリルはわざとこの話題を避けてるんだろう


察しの良いシェリルのことだから、俺が何を言わせたいかなんてもう気付いてるのかも…


さっきから遠回しな言葉で何回も避けられているような気がする








…“カッコ良かった”なんて言葉をシェリルの口から聞くなんて、やっぱり難しいのだろうか









でも、言わせたい




あの時の俺は格好良かったと、認めさせたい





「なぁシェリルー…」




「…言わないよ」




「…ほめて」




「…しつこい!
アレクにでも褒めてきてもらえばいいだろ?!」










「俺はシェリルに褒めてもらいたいんだよ!」










あまりにも率直な俺の言葉に驚いたのか、シェリルは目を大きくして止まってしまった





「お前さぁ、命懸けで炎を取りに行った俺を見て、なーんにも思わなかったのかよ?」



止まってしまったシェリルに、追い討ちをかけるように俺が畳み掛ける


う…、と呻くシェリル



「そりゃ、まあ感謝はしてるさ
あんな危険な役買って出てくれて…」


「ふーん、…他には?」

「え、他にって…」


「もっとこう…あるだろ?
命懸けで炎を取りにいく俺は素敵だったとか、ときめいたとかさぁ!」


「ルッツ…………あんたそれ自分で言ってて虚しくない?」





はぁ、と呆れたようにため息を吐かれる









だがその後、諦めたように肩を竦めて、しょうがないなぁと言いたげな目で、でも、とシェリルが続けた









「…でも、確かにあの時のルッツは良くやったよ。
いつものバカっぷりからは想像出来ないほど頑張ったと思う。
…見直したよ」




「!! 惚れ直した?」

「は、はぁっ?!」


俺のちょっとした冗談に、シェリルは大袈裟なほど大きな声をあげた


「いつ誰があんたなんかに惚れたって!?」


…怒鳴り付けるように一言。


いくらなんでもそのリアクションはちょっとグサッときたぜ…!




「なんだよ、そんな力一杯否定することないだろ!
確かに今のあれはちょっとした冗談だけどよ…
半分本気なんだぞ!!」


「…え?」




あ、あれ俺今なんて言った…!?




勢いに任せて言ったらなんか今とんでもないことを言った気がする…!!




「あのルッツ、それってどういう………
…遠回しな告白?」

「シェリル、今のなしな」




は?と首をかしげきょとん、とするシェリルを放って




俺は、そう…まさに脱兎のごとくその場から逃げ出した








だって、あんな告白(?)カッコ悪すぎるだろう、どう考えたって…!!




うっかり口がすべったにしても程がある
惚れた?って聞いたあとに半分本気だって言ったんじゃ、まるで俺がシェリルに気があるみたいだよな…
…いや、あるんだけどさ!





とかなんとか考えていたら、後ろからシェリルがふざけるな!と鬼の形相で銃を撃ってきた



銃弾が頬をかすめたが、今の俺にはそんなかすり傷よりも恥ずかしさとか後悔のほうが上回っていて…



















「アレクー!!!助けて、色んな意味で!」


「ルッツ?!どうしたんだ」




今日もまた、いつものごとくアレクに匿ってもらうのだ





























「…で、今回はどうしたんだ?」
「あのさ…俺、間違ってシェリルに告っちゃった…!」
「えぇ?間違って??」
「本当はもっとカッコ良くキメようと思ったのに俺、つい口がすべって…」
「??? なんか良く分からないけど…
ルッツ、お前はカッコイイよ」
「うぅっ………ありがとうアレク…!」






END

やっぱり私の書くルッツは最後がどうしてもキマらない不幸体質のようです(笑)
ごめんルッツ、好きだ…!
 

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