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□恋の味を教えよう (豪土)
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白い湯気がのぼる優しい茶色の飲み物を少し冷ましてから口に運ぶ。
途端、口に広がる甘く温かい刺激に土門は顔をほころばせる。
「美味しい。」
その顔を見て思わず微笑む。
そして自分は黒い飲み物を一口啜る。
視線を土門に戻すと、土門は俺の手元を見ていた。
「豪炎寺、それ一口ちょうだい。」
「苦いぞ。」
そう言ってマグカップを渡してやると、土門はさっきと同じようにフーフーと冷まし口に運んだ。
予想以上に苦かったのか土門はすぐに自身のカップのココアを飲む。
「にがっ……よく飲めるね。」
「なれれば平気だ。」
もう一口飲みながら密かに間接キスだなと思い嬉しくなったが、本物の唇に触れたくなった。
「豪炎寺も飲む?」
土門が自身のカップを差し出してきたがそれを受け取らず、腕を引いて耳元に顔を寄せる。
「いや、俺はこっちがいい。」
欲を孕んだ低い声で囁いた後、触れるだけのキスをする。
かるくリップ音をたてて唇を離す瞬間、ついでに土門の唇を舐めあげる。
「ごっ……豪炎寺っ!?」
「甘……。」
舌に広がる甘みはココアだけではないだろう。
もう一度味わいたくなり土門に唇を近づけた。
さぁ、もう一度
恋の味を教えよう
「豪炎寺苦い。」
「お前は甘い。」
end
→あとがき