文
□吹雪×染岡
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運命の線
「ねぇ染岡君、運命って信じる?」
俺の恋人はロマンチストだ。
甘い顔に柔らかな声でそんなことを言うから御伽噺の王子様みたいだと俺は思う。
「さぁな。」
でも俺は姫なんかじゃない。
どちらかというと悪者の方がお似合いだ。
「僕は信じるよ。だって染岡君と出会ったのは運命だもん。」
「偶然じゃねぇの?」
思っていることと違うことを言ってしまう俺は心まで歪んだ悪者そのもの。
そもそも御伽噺なんてガラじゃねぇし。
「偶然なんかじゃないよ。線を辿ってなぞって進んで曲がってそれでも出会ったんだもん。染岡君は僕の運命の人だよ。」
言っていることは訳が分からないが吹雪が言えば全て正しく感じてしまう。
そっと俺を抱き寄せることもまるで昔からの決まりごとかのように当然のように思える。
「それにさ、こんな体が離れたくないって言ってる。やっぱり僕達の出会いは運命だよ。」
重なった体がまるで元々一つだったかのようにしっくりくる。
いつもの俺なら偶然や気のせいだと言うだろう。
でも運命って言葉の方がいいなんて考えている俺は吹雪に感化され過ぎだろうか。
でも仕方ないか、運命なんだから
運命だったら王子と悪者の恋なんてのもアリだよな
end
→あとがき