□土門×鬼道
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苺王子








俺の恋人の土門飛鳥はとても世話焼きだ。

まるで王子に仕える召使いのように俺の世話を焼きたがる。





今は土門の部屋で先程二人で買ってきたケーキを食べていた。



「はい、鬼道さん。」



やはりここでも土門の世話焼きは発揮された。


土門はなぜか俺を包み込むように座り片手に皿をもう片方にフォークを持っている。

そのため目の前にはクリームがたっぷりついた苺が刺さっているフォーク見える。


これは食べろということだろうか。



「土門……。」



「チーズの方がよかったですか?」



苺を見つめたまま固まっている俺を勘違いしたのか土門はチーズケーキに手をのばした。



「違う、そういうことじゃない。」


「じゃあ何です?チョコの方ですか?」


「だからそうじゃないっ!なぜお前はこんなに俺に世話を焼くのだ?」



ありすぎる身長差のせいで座っても見上げる形になる土門を睨む。



「いつもお前は俺を王子か何かのように扱うのが気に入らない!」



養子とはいえ鬼道財閥の跡取りだがら身の回りのことをやって貰うのには慣れてはいる。

けどここまで至れり尽くせりなのは土門だけだ。






「違いますよ。俺はあなたを王子扱いなんてしていません。」


「じゃあなんだ。」



土門は持っていた皿とフォークをテーブルに置くと俺の頬に手を添えた。


「恋人扱いです。俺、好きな人はとことん甘やかしたくなるんです。」



頬に添えられた手が唇をなぞる。

まるで壊れ物を扱うような手つきがくすぐったい。



「だから俺にたくさん甘えて下さい。」



唇をなぞる手がなくなるとそこに土門の唇が降ってきた。

触れるだけの口づけはすぐに離れる。




「ダメですか?」



「…苺、食べさせてくれ。」


ここまで言われては甘えてやりたいと思う。

けど甘え方がよく分からない俺は土門がしてくれることをさせてやるしかない。



「はいっ!」




差し出されたフォークにかじりつくと苺の甘酸っぱさと生クリームの甘さが口に広がった。





「鬼道さん付いてますよ。」


そう言って口のすぐ横に付いていた生クリームを土門は舌で舐めとった。


「…急にそんなことするなっ!」










甘い甘い生クリームは土門

少し酸っぱい苺は俺


二つ一緒に甘くなる







end

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