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□稲妻高校2−S組
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〜二時間目〜
2つある体育館のうちの中で広い方の第一体育館。
バスケットコートが二面入る自慢の体育館だ。
そこで今授業を受けているのがこれまた本校自慢のサッカー特進クラス、2−S組だ。
そんでもってこのクラスの体育を担当しているのは俺、染岡竜吾だ。
2−S組は去年、担任をやっていたためか仲がよく非常にやりやすい。
ただ一人
「今日の授業は…」
「マット運動をしましょうっ!!」
「却下!」
吹雪士郎を除いては。
「えぇー!僕とマットの上で運動しましょうよぉ〜!」
「何か吹雪君が言うと卑猥だね。」
横で苦笑いしてるのは吹雪と同じサッカー部の基山ヒロト。
小さい頃から孤児院で暮らし推薦で稲妻高校に入学した。
勉強もできて性格もよいのだか…
やはり2−S組の生徒だからなのか猛烈な円堂信者だ。
「今日はバスケだっ!適当にチームを作って試合をするぞ。」
「じゃあ僕は先生と…」
「却下!豪炎寺、悪いがコイツを連れていけ。」
「わかりました。」
頷いて吹雪を引っ張って行く豪炎寺には去年からかなり助けてもらっている。
俺を追いかけまわす吹雪を止めたり、押し倒されているときに助けてくれたりする。
「チーム組んだかー?それじゃあ試合開始。」
ホイッスルを吹き合図を出すと2つのコートで試合が始まる。
さすがサッカー特進クラスなだけあって運動神経がいいらしくみんな様になっている。
「一之瀬!」
鬼道が一之瀬にパスを出す。
少し手前に出されたボールはキレイに一之瀬の手元に吸い込まれる。
「よっ!」
ドリブルしながらDFを巧みにかわした一之瀬はシュートを放つ。
放たれたボールはボードに触れることなくゴールに吸い込まれた。
「ナイスシュートッ!」
「土門先生に見せたかったなぁ〜。」
「お前なぁ…」
ボヤく一之瀬に呆れた表情をしながら風丸はハイタッチを交わす。
隣のコートでは豪炎寺がリバウンドを取り吹雪にパスをしていた。
それを受け取った吹雪はその場でシュートを打つ。
高く上がったボールはゴールに軽く当たり入った。
「よしっ!」
スリーポイントをきめた吹雪は小さくガッツポーズを作る。
普通にしてれば格好いいのになんて思って見とれていた自分が恥ずかしくなり目を逸らす。
最近吹雪にほだされてるよなぁ……。
前ほど追いかけられるのが嫌じゃないなんて。
悔しいからそんな素振りは見せないけど。
視線をずらし体育館の隅を見るとバスケットボールでリフティングをしている円堂が目に入った。
「こらーっ!円堂、バスケットボールでサッカーするな!」
どんな授業をしてもサッカーに結びつける円堂はもはやバカを通り越して天才だと思う。
でもやっぱりバカだよな。
まぁこれが俺の日常かな?
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